杜松小学校130周年に思うこと
江戸時代に当地に住む伊藤家の清一郎という方が自分の屋敷で村の子どもを集めて『読み、書き、そろばん』を教えた。いわいる寺子屋がこの杜松小学校の始まりで、さらに130年にわたり移転や戦火を乗り越え今に至る歴史を校長先生が式辞の中でお話されました。全校生徒99人が記念式典でよろこびのことばと歌を披露し、和やかにお祝いの会が行われました。
130年という歴史がある学校ですが、2013年には大間窪小学校と統合され、小中一貫校となることは少し残念です。きっと地域の方の思いも複雑だろうなと思いました。とは言うものの子どもの数が減り全校生徒が99人という現状を受け入れて、納得しようとされているのでしょう。
けれども学校の特色として、この歴史を大切に残すという選択肢はなかったのか。そんな思いを強くしたのは、文教委員会の視察で行った山口県萩市立明倫小学校の存在です。長州藩主毛利氏が1718年(享保3年)文武修行の場として明倫館を建て、1885年(明治18年)に当地に新たな校舎「明倫小学校」が完成し、今に至ります。建物もその時のまま残っていますし、学校教育にも明倫館の学風を受け継いでいます。
明倫小学校には明倫館碑や水中騎馬の訓練をする水練池などが残っています。効率だけでは図れない歴史がしっかりと伝えられていることに感心しました。
式辞の中で校長先生も若月教育長も、「新しく出来る小中一貫校でも杜松小の精神を忘れずに」といっていましたが、やはり歴史・文化の継承にはそれなりの形を残して伝えていくというこだわりも必要なのでは…と思いました。(井上八重子)