リサイクルからリデユース・リユースを推進する循環型社会へ

第15回東京23区とことん討論会

 8月6日に第15回東京23区とことん討論会が江東区で開催されました。23区持ち回りで実行委員会形式で行われる討論会で昨年は品川区での開催でした。

1950年代後半、東京のごみ戦争の舞台となった江東区は23区から排出されるごみの7割が運ばれ、江東区民にとっては深刻な問題となっていました。区長就任3年目という、江東で生まれ育った山崎区長さんからごみ問題の経過が詳しく話されました。そこでは40年来懸案であった廃棄物処理の各区の公平がやっと実現したことを評価する反面、江東区はお金頂いているが、各区がごみ減量に取り組み、区税の負担削減に努めて、ごみの焼却は減らすほうが望ましいという考えを示しました。首長挨拶にはリップサービスがつき物でしょうが、青春時代、空が真っ黒でごみの埋立地を抱えて、友達に江東区を自慢できなかったという山崎区長さんの思い出話を聞けば、本心からの思いであることがわかります。ごみの減量を焼却より発生抑制と再使用を優先して取り組むことを目指そうと集った市民に区長からエールが送られました。

最終処分場の延命に特別区長会はごみの焼却を優先するサーマルリサイクルに舵をきった結果、燃えるごみにゴムや皮、プラスチックが含まれ、現在、有害物質や重金属の排出に新たな問題が出ているようです。6月に発生して拡大している水銀汚染による4つの清掃工場の稼動停止問題は事業系の持込なのか自治体が集めているごみなのかも含めて調査中ですが、分別変更による排出者の意識の低下も一因するのではないかという意見も出ました。清掃職員という参加者からは燃えるごみの中の不燃物(ガラス・金属)の混入率がサーマルリサイクルが始まって増えているという報告もありました。

上記の発言や報告は私が参加した「23区の清掃事業の現状と課題を知ろう!」の分科会でのことです。ここは23区のごみ収集の役割と中間処理を担う清掃一部事務組合との関係、その一部事務組合について市民が感じる課題などを議論しようという分科会です。しかし時節柄というか水銀汚染問題は参加者の関心は高く、避けては通れない問題でした。足立、板橋、光が丘、千歳の工場だけの問題ではなく、どの清掃工場でも起きる可能性が否定できないという危機感が市民にはありました。廃プラスチックの資源化を行わない区がまだ11区もあります。区民を何でも燃やせるという意識に誘導することのないように、全区が廃プラスチックの資源化に取り組んでほしいのです。

何でも燃やせるという安易な考えではなく、資源になるものは分別をし、ごみの減量に取り組むこと。そのためには「リサイクル費用を負担するから良い」ではなくて、分別しやすい製品を工夫して作ることも事業者責任として求めていくことが必要です。そして繰り返し使用できるものを使うことが求められます。

循環型社会を目指すための優先順位ごみになるものを減らす>何度も使う>ものに戻す>熱や電気を取り出す>環境を汚さないように処分する一人一人がこの優先順位を確認してごみ減量の道筋を描いていきませんか。(井上八重子)