ここが問題!憲法改正国民投票法 

4月22日(日)大森駅近くのLUZ大森で「いま知っておきたい!憲法のこと☆市民集会実行委員会」が主催する標記の市民集会が開催されました。

新聞報道で憲法を変えることに賛成という人の割合は半数以下であり、国民の憲法改正の議論が盛りあがっているとは言えません。一方で自民党は憲法9条をそのままで自衛隊を明記する改憲をめざすという報道があります。いづれにしても憲法改正は最終的には国民投票で決まります。最近新聞でも国民投票法のことが取り上げられています。朝日新聞では国民投票の課題について連載が組まれ、東京新聞4月29日の朝刊では公明党が国民投票法の広報(CM)などの扱いについて議論が必要と主張しているという報道がありました。

市民集会は憲法改正の手続きが本格化する前に、主権者市民が国民投票法を理解するために行われました。講師の南部義典さんは法学者で政治学者、シンクタンク「国民投票機構」代表で国民投票法の立案に関与し、以後研究を継続し、望ましい制度設計に向けた提言等を行っている専門家です。

私自身が国民投票法を漠然としか理解しておらず、どのような法律のもとに、運動が行われるのかということを具体的に知らなかったことが分かりました。

国民投票が行われる前段で、国会議員3分の2の賛成者によって憲法改正の発議が行われることは知られています。が、それまでに、憲法改正原案の提出(自民党単独では出せませんから共同提案)があり衆参本会議の趣旨説明、質疑、衆参憲法審査会の議論等があります。現在の国会議員構成では、衆議院では310名の賛成、参議院では162名の賛成者が必要です。欠席、棄権は「反対」と同じです。南部さん曰く自民党内でも改正案が一本化されていない上に発議についての議論は1度もされていないとのこと。安倍首相が2020年の改憲をめざすと発言しているようですが、要はそんなに簡単なことではないということです。
しかし国民投票は選挙とは違い、「やり直しがきかない」。選挙で選んだ人がダメだったら次に投票しなければよいが国民投票はそうはいかないと警告します。

さて国民投票法ですが、たくさん課題があることを知りました。国民投票運動は選挙と違って、できないことはありません。ここでいう国民投票運動とは期間が最短60日から最長180日間で「憲法改正案に対し、賛成または反対の投票をし、またはしないよう勧誘する行為」です。①公示前も運動が可能②運動にかかる費用支出に制限なし③未成年者の運動も認める④国政選挙が重なる場合でも期間中の戸別訪問は可能。まだ日本では経験したことがないので、どのような問題が引き起こされるかというイメージもなく、国民投票広報協議会が国会内二設置され公的な広報を行うのですが、具体的に決める項目について議論されていません。国民投票にかかる国家予算もシミュレーションはされておらず、850億円というざっくりとした金額は公表されたことがあるそうですが、さらに積み上がることが予想されるそうです。

広報活動も何でもアリなので、賛成投票・反対投票の勧誘CMでは資金力の多い少ないは、CM量に顕著に表れ、少ない方は反論ができないという恐れがあります。公平なルールのもとに国民投票が執行されるよう法の整備が求められます。そして国民投票権年齢は今年6月21日に18歳に引き下げられました。国民投票犯罪である18歳、19歳の成りすまし投票などは少年法との関連で未だ法整備がされていません。また公職選挙法ではデパートなど投票所開設など投票環境の規制緩和が6項目で進められていますが、国民投票では全て認められません。
そして一番気になるのがお金の問題でしょう。国民投票法は運動の経費は原則自由なため、飲食もOKで金銭による買収の恐れもあり、国民投票の公正さを害する恐れがあります。また出どころのわからないお金が出回ることが心配されると南部さんは指摘します。
えっそれて例えば、政府官房長官の機密費とかでしょうか。と心の中で私はつぶやいてしまいました。

とにかくいろいろと課題の多い国民投票法です。
埼玉県議会が国民投票制度の改善に向けた取り組みを求める意見書を2018年第1回定例会に全会派一致で衆議院議長あてに提出したことが南部さんより紹介されました。
先に述べたように、公明党が国民投票の制度の議論が必要ということも主張しているようなので、品川区議会でも意見書の提出に向けた議論ができるよう、市民として働きかけ応援をしていきたいと思いました。

いま知っておきたい!憲法のことーシリーズ(2)では、この同じ会場「LUZ大森」で6月9日(土)18:00~20:30
ドキュメンタリー映画『不思議なクニの憲法2018』の上映会が行われます。上映後松井久子監督トークも予定されています。参加費800円、高校生以下は無料です。
この映画見逃している方、そしてぜひ中高生にも見てほしいと思います。
詳しくはこちらのチラシをご覧ください。

(井上八重子)