なぜ?大阪の産廃が品川に

まだ終わらないダイオキシン問題

 6年ほど前に大阪豊能郡の焼却場「豊能美化センター」で高濃度ダイオキシンが検出されたというニュースを覚えている方も多いと思います。その後、同センターは1999年6月に解体され、施設内の高濃度ダイオキシン類汚染物(解体廃棄物、施設内の煤塵・灰、除去作業に使用した可燃物ほか)が4300本のドラム缶に詰められ、10段重ねになって建物の中に保管されています。

 美化センターを運営していた豊能郡環境施設組合(能勢町と豊能町で構成)は高濃度ダイオキシン類汚染物を能勢町と豊能町での地元処理を原則に処理方式や場所を検討してきました。しかし、地元住民の反対運動などで何度か計画は流れ、現在に至っています。

 ところが昨年の11月に品川区長宛に豊能郡環境施設組合より高濃度ダイオキシン類汚染物を品川区内で処理する計画について協議を求める文書が届きました。これは受注先の産業廃棄物処理事業者(株)クボタの計画に「一部の汚染物を品川区の施設で処理する」ことが含まれていたためです。
 
 品川区の高橋区長は、11月20日に「法的に可能であったとしても、区民の生命、健康を守る立場である品川区として住民感情を考慮すれば受け入れは大変困難な状況と判断している。」と回答しています。
この文書は、施設組合の議会においても公表されていたため、品川区の地元住民の理解は得られていないという印象を持っていたと豊能町の議員も言っています。

 その後今年1月、(株)クボタ(大阪府)は施設内汚染物の一部を外部の既存施設(品川区内)に委託して焼却・溶融処理する内容を盛り込み、施設組合と焼却施設内汚染物無害化処理施設の建設契約を結びました。

 この汚染物には一般廃棄物が含まれており、法律では一般廃棄物は区域内で処理をすることが原則です。区域外で処理するのであれば受け入れ先の地元自治体に通知することになっています。これが前述の区長宛の文書です。
 品川区内にはこのような廃棄物を処理できる施設は「シンシア」(旧高和:八潮3丁目2番11号)だけです。(株)クボタは契約にあたって、地元自治体の理解は得られる状況と施設組合には報告しているようですが、このとき(2004年1月)には地元八潮の住民も品川区民も大阪のダイオキシン汚染物が品川区で処理されることは知りませんでした。

 11月に区長の受け入れ困難の回答が出されていましたが、2月には八潮地区連合自治会へ品川区環境課長は、施設組合の焼却施設解体に伴うダイオキシン汚染物の一部が品川区内で処理される計画があるということを報告しました。また法に基づいての処理であり、区としては拒否できないという発言がされています。

 最近、地元議員からの情報で豊能郡で予定されていた無害化処理施設の建設が地域住民や議会の反対で断念されたということがわかりました。そのためドラム缶の持ち出しは当面不可能ということです。これからどうなるかについては地元議員にも、未確定な事が多すぎてはっきりとわらないと言っています。

 区民の不安を取り除き、安全と健康を守るために、大阪の豊能郡の施設組合という他団体の事業とはいえ、品川区は情報の提供を速やかにすべきです。