原発回帰は許されない

3月11日東日本大震災から12年を迎えました。全国で関連死を含めて死者・行方不明者が2万2212人となり、今なお2000人を超える行方不明の方々がいて、待ち続けている家族の姿の報道に心が痛みます。そして現在も3万人余の方々が避難生活を余儀なくされています。復興されつつあるまちの様子が報道で取り上げられていますが、避難生活が長引くにつれ、避難先での生活基盤が出来上がり、戻ることをあきらめた方も多く、災害復興の難しさを考えます。さらに原発事故によって故郷を奪われ、復興にも着手できない地域があること、帰りたくても帰れない人たちがいることを忘れてはならないと痛切に思います。

あの東京電力福島第1原発の爆発事故により、国民は原発の安全神話が間違いであったことを理解しました。そして国内に原子力発電所が54基も存在する事実を初めて知ったという人がたくさんいました。原発に頼らない電力で暮らしていこう!という声も上がり、当時の民主党政権が2030年代に原発稼働ゼロを可能にと提言したことに、日本が変わると期待した人も多かったと思います。

ところが安倍政権になり、国のエネルギー基本計画でも、原子力を「重要なベースロード(基幹)電源」と位置付け、30年度の電源構成に占める割合は二割以上を維持すると打ち出しています。ただし原発の新増設は考えていないとしていたのです。

しかししかしです。岸田政権は前2回の国政選挙(衆院・参院選)をはじめ、国会にも国民にも何ら事前説明もせずに、原発の新増設、最長60年としてきた原発の運転期間60年の延長、電力の安定供給と脱炭素社会の実現に向け原発活用、次世代原発の開発などを打ち出し閣議決定しました。多くの国民の脱原発の考えとかけ離れているとしか言えません。

地球温暖化対策とウクライナ戦争によるエネルギー供給不足を懸念してと理由づけてますが、地球温暖化対策は今に始まったことではなく、対策をしてこなかったとしか言えないのではないでしょうか。エネルギー供給不足はもちろん大変なことですから検討しなければならないことは理解します。が、そのことと原発新増設、40年ルールを反故にした運転期間の延長は、福島原発の爆発事故を経験した日本のエネルギー政策の大転換です。国民的議論や国会での慎重審議が必要です。閣議決定によって決まりとしてはならないはずです。国会で、立憲民主党議員が老朽原発について取り上げ、安全性に警笛を鳴らしていましたが、閣議決定ありきでつき進むべきではないと断固抗議します。

東日本大震災から12年を迎えた。福島原発事故を風化させてはならないと毎月行うさよなら原発さよならアクションの街頭宣伝。(2023年3月11日、大井町ヤマダ電機前)

原発事故を契機に、区内在住・在勤の市民が集まって、さよなら原発品川アクションという市民団体を2011年9月に立ち上げました。福島の原発事故被害者に寄り添い、この事故を風化させない。そして原発のない社会をめざしてに、毎月の街宣活動や講演会、共感と賛同を拡げる脱原発パレードを継続して行っています。私は設立当初に、福島県出身の矢吹芳郎さんとともに共同代表としてこの市民団体と関わってきました。矢吹さんは志半ばで逝ってしまわれましたが、原発事故のことは福島では家族や友人とも話ができない辛い思いを抱えながら品川で一緒に原発NOを訴え続けました。

去る3日11日(土)原発事故から12年を迎えた日に、さよなら品川品川アクションは恒例の宣伝活動をヤマダ電機前で行いました。ウサギさんも久しぶりに参加し、子どもたちにも大人気でした。
さらに3月19日(日)にはコロナ禍で中断していました原発いらない・さよなら原発品川パレードが実施されます。今回は、原発問譜代だけではなく、命が大事、軍備増強・増税反対を一緒にアピールするパレードになります。主催は原発いらない・さよなら原発 品川パレード実行委員会です。私もミニ集会の司会を担当します。

お気軽に参加ください。脱原発の声、そして軍備拡大ではなく平和を守ろう!!の声を一緒に高らかに上げましょう。

パレード告知 
10:30ミニ集会 しながわ中央公園(区役所前)11:00パレード出発 → 大井町駅 → 浅間大公園解散

230319品川パレード(カラー版)のサムネイル

(井上八重子)