富士見町のホームページには鉄塔建設情報欄があります

電磁波による健康被害は予防原則の視点が欠かせない

電磁波による健康被害の相談を市民の方から受けて、品川・生活者ネットワークは昨年の8月に緊急学習会をしました。電磁波問題市民研究会の大久保貞利さんを講師お呼びした縁で、同研究会の会報をそれ以来、私は購読しています。この会報には電磁波に関する世界各国の調査研究報告や携帯電話基地局建設にかかわる住民訴訟の状況、電磁波による健康被害者の相談事例など様々な情報が掲載されています。

過日送られた会報NO.64号で「長野県富士見町のホームページには鉄塔建設情報欄があります」という記事を見つけました。我が故郷「富士見町」にビビビ!とアンテナが反応しました。すぐに富士見町役場のホームページにアクセスするとトップページの右側にそのサイトがあり、NTTドコモの建設計画が表示されていました。
早速、同役場総務課企画統計係に電話をしてどのような経過でこのサイトができたのか伺いました。
担当の方は、町民から電磁波の健康被害を心配する声が町に多く寄せられ、一番影響を受ける事が予想される子どもたちにも被害が起こらないという証明がされていない事を考慮し、同町環境保全条例を根拠に、情報として公開することを決めたとのことでした。開発事業として鉄塔の建設は事前協議をするので、その申請をもとに情報開示が行われています。

富士見町は八ヶ岳のふもとの自然がいっぱい残っている町で、大きな集合住宅があるようなところではありません。都市部のように住宅の屋上という事はあり得ませんが、考え方としては建物の屋上に基地局建設が計画されても同様に公開するということです。
鎌倉市ではこの4月より、携帯電話基地局設置に関して住民に計画を事前に知らせ理解を得ることを盛り込んだ「携帯電話等中継基地局の設置等に関する条例」が施行されました。基地局の設置規制には踏み込んでいませんが、少なくとも住民が知らない間に基地局が野放しに建設されないようになる一定の効果があります。しかし品川区を始め多くの自治体では、住民の知らないうちに携帯電話基地局が次々と建設されています。

富士見町は条例には明記していないそうですが、将来的に健康被害がない事は証明されていないという予防原則にのっとり、町民の側に立った行政運営が行われているようです。
(井上八重子)