玄海原発で休止中の2号・3号機が再稼動したら、日本は世界に見放される

フクシマは一躍話題にのぼり、世界の知るところとなった。フクシマ第一原子力発電所の水素爆発の様子は、イギリスではその映像が事故後には報道され、インターネットでも見ることができた。しかし日本国民はその情報も映像も、日本のメディアからは知らされることはなかった。一番知る権利のあるはずの日本国民は、今身近に起きている情報を他国の報道で取らなければならない。日本の報道機関の構造は、どうなっているのか不可解だ。東電をはじめとする電力業界の指示か。それとも政府の指示なのか。正確な情報を瞬時に出し、市民が判断できる報道のあり方が求められている。

 福島の事故のあと、休止中の原発の中で再稼動に舵を切ろうとしているのが佐賀県の玄海原発2、3号機です。佐賀県の古川康知事は、6月29日、海江田万里経済産業省の訪問を受けて、「安全性の確認についてクリアできたと」と玄海原発2、3号機の再稼動を容認する意向を示したと、新聞報道にありました。しかし本質は一部の報道ではなかなか知ることができません。

東京電力福島第一原発事故は、すべての電源が喪失したことでメルトダウン(炉心溶解)など過酷な事故につながったので、全国の原発に緊急安全対策が指示されました。

九州電力は玄海原発に電源車やホースなどを新たに整備することを4月に発表しました。発表はしましたが、発電機が整備されるのには1年、海水系ポンプの追加は3年程度かかる、水素爆発対策としての原子炉格納容器内の水素を減らす設備を設置することにしているが、それも3年程度はかかる見通しだといわれています。情報を掘り下げるには、私たちにも努力が要ると改めて思います。佐賀県知事が言う「安全性の確認」の意味は一体何なのだろうかと私は不安に思います。

海江田万里大臣が国は安全を保証するといっても、緊急的対処だけで抜本的な対策が今後の計画頼みでは納得できません。

原発事故は、いったん起きてしまったら、人間の手には負えない代物だと身をもって体験したはずの日本です。事故の収束の先行きも見えないで、放射線の被曝から避難している人たちの安全な生活も守れないでいるのに、原発の再稼動を国民は許してはいけません。(井上八重子)

追記
7月4日の夜、玄海町の岸本英雄町長が九電社長に玄海原発2.3号の運転再開を認めたと報道されていました。
一自治体町長が判断するには、大変重く、委ねる問題で藻ないはずです。玄海町の問題だけではなく、日本国民の姿勢が問われてるのだと改めて思います。