第2回定例会議会報告 その2

子ども「20ミリシーベルト」撤回の趣旨ではない意見書を提出する羽目に

第2回定例会に福島県教育委員会に示された学校利用基準「年20ミリシーベルト」の撤回を求める意見書提出を議会運営委員会に提案しました。

福島県第一原子力発電所事故に伴い、放射線の被曝を強いられて子どもたちは学校生活を送っています。例年の夏には開放していえる窓は、今年は締め切っています。マスクを着用し、夏なのに通学時には長袖を着ています。学校も保護者も子どもの健康を守るために自衛手段を講じています。

文部科学省は4月19日、福島県教育委員会に学校の校舎・校庭等の利用判断における放射線量の目安として、「年間20ミリシーベルト」(以下mSV)の基準を示しました。
20mSVは子どもの基準として極めて不適切と、福島の保護者やNGO、弁護士など多くの団体が年20mSVの撤回を文科省に求めています。この値を批判して、内閣参与の専門家は子どもの健康に責任が持てないと辞任しました。
その後文科省は一定値以上の放射線が検出された場合の除去費用を負担することを決め、「年1mSV以下を目指す」としましたが「年1~20mSV」という暫定基準は当面維持し、基準を見直そうとはしていません。

民主・改革ネットは、この問題に対して、①年20mSVの撤回を求めること、②放射線の基準が示されていない全国の学校にも基準を策定せよ、という要望項目を意見書にまとめて提案しました。文案については、各会派持ち帰りで検討をお願いした結果、自民党から対案が出されました。

自民党の対案では要望項目は①学校等の放射線量の安全基準を策定せよ②基準値を超えた場合の対応策とその費用を国が負担せよというものです。

福島の子どもの学校利用基準が20mSVは考えられないことが意見書の出発点であったものが、完全にすり変わり、議会運営員会では自民党案を議員提出で提出することになってしまいました。
さらにこの意見書案が国に特別区長会が出した要望書のコピーだったこともやりきれません。
全会派賛成で意見書を出すときには慣例で議運のメンバーが署名人となります。学校現場で放射線量の基準値が定められていないので、意見書を提出することには私も賛成しましたが、当初求めた意見書の趣旨とかけ離れたものである以上、私は署名人にはなりませんでした。

 意見書を提出するにあたって、議会内で紆余曲折調整をした経験はしっかりと財産にします。
国政政党の考えを引きずる政党議員が多い品川区議会では党利党略が関係し、時間や労力をかける割には議論ができないという事情もあります。意見書は効果的でなくパフォーマンスに過ぎないと考える議員がいるのは残念です。

自治法99条の法律を使いこなして、品川区がもっと自律した自治体となるように、議会の権利を行使します。(井上八重子)