決算特別委員会報告その④

品川区の任意予防接種の費用補助率は2分の1が目安で、23区で見ると補助率は低いと思うと保健予防課長は答弁しました。

予防接種の種類には定期と任意の2種類があります。ポリオやBCGなどは定期予防接種で、ヒブや小児肺炎球菌、子宮頸がんワクチンなどは任意接種です。費用は定期接種は市区町村の負担、任意は自己負担です。今年の秋から、生ポリオワクチンが不活化ポリオになりその費用2億円が補正予算として組まれたのもそのためです。

ちなみにポリオは生ワクチンは11,379円で不活化ワクチンは11,041円と、こんなに差があるということにも驚きました。 

さて任意接種は23区でも接種費用の補助をしていますが、自治体によってとても差があります。例えば子宮頸がんワクチンは全額補助が20区で一部補助は品川・世田谷・中野区です。水ぼうそうは12区が補助をしていますが、全額自己負担の自治体も11区あります。おたふくかぜも全額自己負担という区が多いようです。それぞれの区の実態は政策的な判断に基づいていて、その理由はわからないので軽々にコメントすることはできません。

品川区は任意予防接種の補助はそれぞれのワクチンで他区に比べて比較的早い時期に実施しています。その点は評価できますが、金額的には薄く広くという結果になっています。

予防にかけるお金が増えれば、医療費の削減効果はあるし、子どもを育てながら働く世帯では、子どもが病気の時に母親か父親かどちらが休暇を取るかというのは相当深刻な問題です。どこにお金を使うのかは、「政治家区長の政策判断」ではないはずですから、市民合意を高めるしくみが必要であると痛感します。そのために生活者ネットワークは市民が区政に関心をもち、参加できる自治のまちをめざしています。

 

決算の状況だけ少し整理をしたいと思います。

区の助成のしくみですが、任意予防接種、例えば小児肺炎球菌は接種費用が10,000円で区補助は5,000 円です。その2分の1が国から都を通じて予防接種助成補助金として歳入になります。結果的に区は税金を2,500円投じることになります。

そのしくみの中で2011年度予防接種に投じた区の財源は約8300万円です。こんなに少なかったのかと改めて驚きました。

「子宮頸がん等予防接種助成補助金」や「医療保険政策包括補助金」は単年度のもので、恒久的な補助金ではないので、区が補助率拡大に踏み切れないと考えているようです。

一方医療費は、中学生まで自己負担分を税金で賄っていますので「子どもすこやか医療費助成事業」の医療費助成は2011年度で138000万円ほどの税金がかかっています。

この中に予防接種を受けていれば避けられた受診もあったのではないでしょうか。

(井上八重子)-