憲法改正が想像の危機から『本当の危機』へ

憲法改悪を阻止するためには星の数ほどの学習会の開催が必要という金子教授(2013.8.16きゅりあん)

自民党の日本国憲法改正草案を知らなかったでは済まされないほど恐ろしい。今までは国会議員に改憲派がいても国会発議のハードルは高いと思われていましたが、国会議員が発議ができる3分の2以上の議席を改憲派が衆・参議院で占めました。ですから本当の危機になりました。自民党に投票した人たちにはこの自民党草案を確認することをおすすめします。

いろいろ問題はあるのですが前文を例にとって示します。
現行憲法の前分は日本国民は、政党に選挙された国会における代表者を通じて行動し、(中略)政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。と謳っています。

一方自民党改正草案では日本国民ではなく日本国はから始まり、天皇を戴く国家であると謳い、さらに日本国民は国と郷土に誇りと気概を持って自ら守ることと明記しています。その後の文章には現行憲法にあるような恒久平和を維持するという考え方は示されていません。

また最後の結びは現行憲法は日本国民が『誓う』に対して『制定する』となっています。こんな憲法制定したくないと思ったら、国民ははっきりと声を出していかなければならないのです。無関心でいたらとんでもないことになってしまいます。

とっても怖い憲法の改正の話は、しながわ平和のための戦争展の特別講演でのお話です。この平和展は品川区民ギャラリー(イトーヨーカドー大井町店8階)で15日から開催されています。最終日の18日(日)は午後5時までです。今年で30回もの歴史があることを私は知りませんでした。毎年400人近くの来場があるそうです。今年の展示は侵略戦争とアジア(従軍慰安婦問題)ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマ(原爆&原発)、憲法・日米安保条約(憲法96条改正)、東京大空襲訴訟など多様な展示がありました。「さよなら原発品川アクション」では福島原発事故後の現地の写真や品川での脱原発パレードなどの展示をさせてもらいました。 

この平和展では期間中イベントも組み込まれています。16日夜には『日本国憲法の危機-「戦争する日本」作りを阻止するために』という立正大学金子勝教授の特別講演がきゅりあんであったので聴きに行きました。

特に前文と第一条天皇、9条を中心にお話がありました。第一条天皇は改正草案では「日本国の象徴」を「天皇は日本国の元首」としています。金子さんいわく戦争が起きた時には「責任は天皇にあるんですよ」ということですよ。前文の自ら守りは徴兵制のことですよ。女性だって安心してられませんよ、男女平等なんですからね。落語が趣味という金子さんはユーモアを交えて時どき笑いをとって話されるのでよくわかりました。

ほかにも危ない話がたくさんありましたけど、書ききれません。1947年(昭和22年)新しい憲法が小学生一人一人に配られました。いま、子どもも大人もこの現行憲法を改めて読む時期に来ているのではないでしょうか。改憲に反対の人も賛成の人も。

8月15日終戦にちなんで様々なイベントが行われています。戦争の惨禍を二度と繰り返してはならないと戦争を知らない世代に、戦争の体験者を伝えようと高齢の方々が語り部として重たい口を開きだしました。そんな時に「はだしのゲン」の閲覧制限を松江市教育委員会が学校要請というニュースは残念です。(井上八重子)

8月17日(土)の午後平和展の会場に足を運んだ。

自然の木でつくられたコカリナのあたたかい音色が「平和の響き」となった。品川コカリナアンサンブルのみなさんによる演奏2013.8.17平和展)

 

東京大空襲で家族を失った経験を持つ詩人の浅見洋子さんが戦争体験者の詩集「ひとりぼっちの人生(せいかつ)を朗読。戦争によって人生を狂わされた人たちの切なくつらい思いが伝わる。(同左)

67年前の3月10日の東京大空襲では10万人もの民間人の命を奪ったにもかかわらず、東京には犠牲者の追悼施設も資料館もない。東京都に予算が付いたのに反故にしたのは前石原都知事。国の政策によって生まれた原発被災者へと思いが重なると語る東京大空襲訴訟原告団千葉利江さん