1:93 この数は何でしょう

3年目のネット事務所の緑のカーテン、2階の窓までとどくのはいつになるのかな
3年目のネット事務所の緑のカーテン、2階の窓までとどくのはいつになるのかな
タイトルの数は品川区のことし5月末日現在の生活保護ケースワーカーと担当する受給者の割合です。
47名のケースワーカーは4259世帯の生活保護受給世帯と同月受理した90件の申請世帯を地区割りで担当しています。様々な状況の方の主訴に合わせて、一人ひとり違った対応が必要なので、大変だろうと思います。一方で今の状況を変えて早く自立して、収入を得たいとひとりで悶々とする日々を過ごしながら、どうやって相談したら良いのかと悩んでいる方がいます。

 失職がまずない公務員と一生懸命求職しても仕事が見つからない人とは平等さはなく、関係は“権力関係”といってもよいほどの、かなりの“不平等”です。こうした不平等の中でケースワークが行われているということを承知して職員の方には仕事にあたって頂きたいのです。

一人のケースワーカーが93件もの相談に対応して措置をするのは困難でしょう。品川区は今年、やっと1名の職員と4名の非常勤を増員したのでこれでも少し改善したことになります。職員の方のご苦労は理解するのですが、だからと言って相談者の対応が不適切であってはなりません。

社会福祉法では社会福祉各法の業務を行う機関としての福祉事務所とそこで業務に従事する「現業員」について規定しています。現業員は「援護、育成または更生の措置に関する事務=「ケースワーク」を担当することになっています。そして「現業員」は「社会福祉主事」(20歳以上で「人格が高潔で、思慮が円熟し、社会福祉の増進に熱意」のあるもので大学など指定された社会福祉に関する科目を納めて卒業したものか、指定された養成機関などの家庭を終了した者)であるとされています。
しかし実際には「社会福祉主事」の資格を持たない職員もケースワーカーとして配置されていて、社会福祉法の規定を守らない職員配置が地方自治体で行なわれています。
規定を守らなくとも即違法ではなく、できる規定が自治体にもあるのだと思いますが、私が読んでいる本の中に「職員は「ケースワーク」を行う「裁量権」を持っていると勘違いしていることがよくあると指摘しており、実際に、そのような場面を経験しました。

今国会では生保見直し議論が当事者抜きで行われています。東日本大震災では義援金や補償金をもらったために打ち切られたりするケースも起こっています。生活保護についてはいくつもの問題が指摘されているのは事実ですが、憲法25条に規定された生存権を保障するものとして有効に使われるように関心を持っていきたいと思います。(井上八重子)