アビリティクラブたすけあいは、地域にお互いに助け合うしくみをつくろうと、家事援助や介護、子育てなどの自立支援サービスを実践しているところです。働く人たちが出資をするワーカーズコレクティブという働き方で、会員制で地域に支えあいのしくみが広がっています。品川区にもたすけあいワーカーズ「たんぽぽ」という団体がありますが、すでに東京の29自治体に33のたすけあいワーカーズがネットワークをしています。
ACTには介護保険事業や子育て支援などの行政委託事業に参画しているところもあります。2012年度の介護保険制度改定に向けても、市民事業からの提案として、6つの提言をACTがまとめました。
学習会では介護する側から見えてくる介護保険制度の課題が提言の内容から分かりやすく示され、利用者や保険料を支払う市民が制度設計に関わる必要性を参加者一同が実感できたように思います。
私、井上は、認定および財源の資料をもとに品川区の介護保険の運用状況として介護予防に関する報告をしました。
高齢者人口はここ5年間で10%ほど増えており、介護認定者は3.5%ほどの伸び。認定率は横ばいですが、品川区の認定者を全国構成比と比較すると、要支援が全体に占める割合は32.7%と全国の26.4%より高め、要介護の5段階では要1,2という軽度者の割合が高く、全体に保険給付が押さえられている傾向が見られます。また特定高齢者(認定非該当者)の予防プランの策定者は少なく‘09年度は1000人の対象者のうちプラン作成に至った件数は31件に留まっています。予算・決算で作成した資料でも、介護予防導入年である‘06年の介護予防サービスの執行率が約20%しかなく見込みと大きくかけ離れています。市民ニーズに制度があっていないことがわかります。
私が学習会で改めて認識できたことがあります。それは、介護保険は認定された方への給付として、介護認定されない非該当者、つまり予防をしないと近いうちに要介護者になりますよという方には介護保険事業の財源3%(品川区では約4億円)を使うのではなく、高齢者施策で実施するのが、望ましいということ。
また身体介護と生活援助の介護報酬に差がありますが、身体に触れる介助と生活援助とどちらが困難かといえば、生活援助。それは身体介護がマニュアル対応で可能なのに対して、生活援助はその人の今までの人生に添う援助が必要とされること。どちらもその人の尊厳を守り、生きていくことをサポートするもので、報酬で区別されるものではないはず。生活援助が軽く見られているのは、制度設計の多くが男性によって考えられているからではないでしょうか。政治の場だけではなく、女性の参画率!を高めましょう。
(井上八重子)