政権交代後の日本政府が子どもの権利条約にもとづき、子ども法制や子ども施策をどのように見直して進めていくべきかを市民が再検討しようというシンポジウムです。
私が参加したのは7日の日曜日。同日、内閣府特命担当大臣の福島みづほさんが「子どもの権利実現のための日本政府の取り組み」について講演されました。その後の会場とのやり取りも興味深いものでした。
福島大臣は、消費者や食品安全のこと、少子化対策や男女共同参画、そして自殺対策も担っているのですが、本人いわく「私は子ども大臣です」という挨拶に会場からは期待を込めて拍手が上がりました。そして、新政権では出生率から始まる少子化対策ではなく、子どもを中心においた「子ども・子育て支援」へと転換していく。そのために子ども・子育てビジョンを2010年1月29日に閣議決定したと報告がありました。政府内でも厚生労働省と文部科学省とは激しいバトルを繰り返しながら議論を進めていると紹介しながら、当事者の声も聴きながら政権が変わったからこそ出せるメッセージを出していきたいという熱い思いが語られました。
会場からは自治体職員、子ども相談員、フリースクールのスタッフ、子どもオンブズのメンバーという方々から、幼保一体をどう思うか、不登校の子どもたちへの支援、虐待児救済のしくみについてなど質問が出されました。
幼保一体について、福島大臣は0歳から3歳までと3歳以上という「別保育」は良いのではないかという考えを示しながらも、ここ3年ぐらいは待機児解消対策に重点を置かざるを得ないこと、子どもや保護者が置き去りにされないようにゆっくり進めていかなければならないとことを強調していました。
品川区も幼保一体の保育を推進しているので、私も同感です。
親の働きによって分けるのではなく、乳児と幼児を成長のまま自然に保育するという幼保一体施設が、突然、待機児解消策と同時進行ですすめられてしまって、子どもへの影響を見極める間もないままです。さらに区も議会も「小中一貫一体型校舎と幼保一体施設は併設」という子ども不在、施設ありきの論調が目立つことを危惧しています。国は安易に基準緩和を示さないで、子どもの育ちの重要性を認識し、必要な財源を自治体に出してほしいものです。
しかし福島大臣は子どもの権利に詳しい喜多明人先生や保育園を考える親の会の普光院さん等からいろいろな話を聞いていますと仰っていたので、新しい方向が示されることを期待します。(井上八重子)