品川区の次世代育成支援後期行動計画は、子ども支援につながるか

 「子ども計画ハンドブック」に学ぶ

 5月1日(金)午後6時から、子どもの権利条例東京市民フォーラム第38回定例会が東洋大学で行われました。この定例会には当日のテーマによって市民や自治体職員、議員など様々な人たちが参加するのですが、今回の「子ども計画を創ろう」にはチャイルドラインのメンバーや暴力防止プログラム「CAP」を実践するNPOメンバー、子育ち支援に関わる市民、生活者ネットワークの自治体議員が参加していました。

 品川区の3年生と5年生でCAPの授業を行っている『CAPユニット』も参加していました。学校の対応も良く、保護者向けのプログラムへの参加者も多いので、どちらかというと品川区は成功している自治体だと聞いてほっとしました。

 しかし、いろいろな地域の学校で、子どもに権利があると教師が分かっているのかと疑問に思うときがあったり、子どもはSOSを発信しているのに教師が忙しすぎてキャッチできないでいるという発言には、教師の資質だけではなく学校の教育環境の改善に眼を向ける必要を感じます。

 学校は子どもの生活の中で多くの時間を費やす、安心していられる場所であるはずが、居心地の悪いところだと感じている子どもがいるとすれば問題です。

 代表の喜多明人さん(早稲田大学教授)からも、学校で起こった体罰の裁判で最高裁が4月28日に出した判決は、子どもの権利条約を生かしていないという指摘がありました。5月3日の朝日新聞で、同様の喜多さんのコメントをお読みになった方もいると思います。

 さて、次世代育成支援後期行動計画策定委員会への公募委員の募集が品川区でもありましたが、今年はこの後期行動計画を、それぞれの自治体が前期計画を見直しながら策定することになっています。

 森田明美さん(東洋大学教授)からは、自治体が策定する行動計画が単なる少子化対策にならないように、子ども支援につなげていくという視点が欠かせないこと。そしてそのためには、子どもの権利実現を具体的に自治体の施策に盛り込んでいくようにと問題提起がありました。

 品川区の前期計画をもう一度目を通さないといけませんが、子ども自身の育ちという視点よりも子育て支援、親支援であったように思います。後期計画策定のために行う調査も、中小企業におけるワークライフバランスを中心にコンサルタントが行っています。

 子どもの育ち支援と位置づけ、当事者である子どもの声を反映するための調査が必要と生活者ネットは提案していますが、品川区はその予定がありません。誰のための支援計画なのかということを、当事者である子どもも含めてしっかりと議論できる場の設定を、区には求めていきたいと思います。

 前期行動計画は企画財政課が担当でしたが、4月からの組織改正により子ども未来事業部ができて、後期行動計画策定は青少年育成課が担うことになりました。これは一歩前進であり、少子化対策ではない子ども計画になることを期待しています。

 6月下旬に第1回策定委員会の開催が予定されています。ぜひ傍聴に行きましょう。(井上八重子)

写真:五月晴れというか炎天下の中、にぎやかに開催された【福栄会まつり】で(5月10日)