市民が安心して住むまちの提案を発表

 シンポジウム『安心して住めるまち・品川をつくろう』が12月16日(土)中小企業センターで50名近い参加者を集めて行われました。

品川のまちなみが開発優先で変っていくことに疑問を持った区民が安心して住めるまちづくりを考えようとシンポジウムを企画しました。行政や事業者の言いなりになっていては、残したいまちなみも失われてしまう。まちの姿を市民が決められるしくみづくりが必要であることがこのシンポジウムで参加者の宣言としてまとめられました。

この会は特別講演、3人のパネラーの報告、会場との質疑応答がメインですが、私も品川区の過去のマンション紛争(109件)の分析を報告しました。

特別講演では、「業者側は、さまざまな規制緩和を複雑に組み合わせれば、より高く、より広い範囲で建設が可能になることを知っている。住民にとっては建つはずがないと思っていても、建築の条件が次々と緩和されているのが現実。ある日、突然・・・ということが起こる。」いう話が藤井さやかさん(筑波大講師)からされました。会場からは賛同の声が聞こえてきました。

3人のパネラーからは南品川3丁目の地区計画づくりが動き出しているということ、東大井3丁目の地下室マンションの問題では区の要綱や条例は拘束力がないため指導にも後ろ向きな行政の態度への不信感、戸越商店街ではすでに入居済みの高層マンションだが地域住民がまとまった運動ができず住民不和を経験したなど具体的な報告がされました。

規制緩和の影響を最小限にとどめるためには、まちを守るしくみをつくることが重要で具体的には①高度地区=高さのみを制限、②地区計画=高さやその他の条件も付ける、③自主条例・協定・憲章などのしくみがあります。動かない行政を当てにしていないで市民が動き出すことが大事という藤井さんのエールに会場が明るい雰囲気に変わりました。この問題は生活者ネットも具体的に取り組んでいきます。

会場とのやり取りの中で「計画を知ったときには手遅れ」という問題を改善するために紛争調停委員制度を持つ自治体があること、地区計画は住民にその気があっても住民が交渉していては時間がかかるが、専門家に呼びかけて協力してもらって成功した例や専門家のところで個人情報を一括管理する方法で、近所同士で情報が知れ渡ることも避けられ地区計画が作られた事などはなされました。

最後に安心して住み続けるための提案が宣言されました。

★建築物の高さ規制を導入しよう ★住民の声を活かした地区計画をつくろう ★まちづくりのルールを条例にしよう ★住民と事業者が話し合えるしくみをつくろう
 ★景観ガイドラインに基づいて景観計画をつくろう

       
今後はこの宣言文を具体化していくための会がスタートします。

3枚の写真は①井上八重子が報告②藤井さんがマンション紛争が起る要因を解説③まちづくり5つの市民の宣言

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