午前中の分科会では「しつけと虐待はどうちがうのか?」に参加しました。講師は臨床心理学が専門の山梨大学の玉井邦夫先生で、先生は虐待など子どもの情緒障害の治療施設でのカウンセラーとしての勤務の経験もあります。
しつけと虐待はどう違うのか。虐待というと殴る蹴るや食事を与えないという目に見えるものから、性的虐待、心理的虐待などさまざまです。先生が経験した中で特に悲惨だと感じた事例が紹介されました。
3年生と6年生の兄弟がいました。3年生の弟は誰が見ても普通の子でしたが、6年生の兄は授業を聞いているだけで100点、運動神経抜群、顔もかわいいそんな両親にとって自慢のお兄ちゃん。その兄が交通事故で死んでしまった。葬儀の時お父さんがポツリと「お前だったら良かったのに」。それから弟は自傷を繰り返し、自殺未遂までして施設に入所してきた。よくよく聞いてみると葬儀のときその一言が原因とわかったというのです。
言葉が凶器に変わってしまう例です。
でも言葉だけでは虐待ではないということはみんな知っています。言葉の文脈の中でバカ、死ねなどでは虐待にならない。バカだねぇと許してもらう言葉もあります。関係性の問題ですよね。
虐待をしている親には共通項があるそうです。それは「子どもはいうことを聞くもの」と思って子育てをしていること。例えば今日は特別子どもの好きなものを作ってあげたのにどうして食べないのかと怒る、でも保育園で大好きなものが出たので沢山食べてしまっておなかがすいていないだけ。疲れているときに限っておもちゃを広げて怒らせる。親の都合なんて2歳、3歳の子にはわかるわけがない。でも子どもは言う事を聞くものだと思っている大人は許せない。反対に子どもは思い通りにならないと思っていればそんなことにはならない。
成人した二人の子を見ていて親の思い通りにさせる必要はないと日々感じています。