小さな商店街の果敢な挑戦~宇宿(うすき)商店街~
2カ所目の宇宿商店街へはバスで移動。
パワフルな男性!その人の名は宇宿商店街振興組合理事長河井達志さん。カリスマ性を感じさせる河井さんのお話はテンポがよく、ぐいぐいと引き込まれ、飽きることはありませんでした。鹿児島市宇宿、JR宇宿駅・市電脇田電停を中心にした地域で組合員数39名です。
商店街が持つ課題の整理(河井さん資料より)
・消費人口の減少
・消費者ニーズの急激な変化
・情報化社会の進展 ネットビジネスの膨大化
・量販店の出店・駅間競争の激化
・店主の高齢化
・小売店の営業時間短縮
・休日の閉店
・商店街店舗の減少
・小売店から飲食店へ移行(集客時間の変化)
なるほど!おっしゃる通りですね。インターネット注文の手軽さが消費者を引き付け、客が来ないなら開けていても損と、時間を短くしよう、休みも閉めようと、どんどん地域の商店街の面白みがなくなっていくということですね。
そこで河井さんを中心に宇宿商店街が考えたのが、①商店街活性化はもはや無理②地域づくりに考え方を転換③主人公は地域住民・商店主・文化人報道関係者。
2001年に人と人が集まる交流拠点、道の駅ならぬ「まちの駅 宇宿」を開設。高齢者しか来ないとため息をつく人には、この拠点が高齢者の見守り・安否確認に役立っているというんですよ(河井さん笑)
街路灯にクイズを張りだす「ここは宇宿通楽路~ひったまがった~」の事業は、答えはまちの駅へと子どもたちを呼び込む。老若男女“地域の人が主役”を見事に作り出しています。ちなみに『ひったまがった』は、鹿児島の方言で、びっくりぎょうてんしたの意味だそうです。
新しい事業が次々と工夫されているのですが、中でも、2009年には始まった中学生商人(あきんど)選手権は面白いです。チームは3人一組(代表、会計、宣伝)で商店街商品券を15000円渡されて、商品の買い付け~販売で売り上げを競うというものです。準備期間が1週間で、地元の信用金庫から若手職員が一名各チームに張り付いて日計表の記帳など面倒を見ます。第1回は参加校5校17店舗、当日販売総額は399,000円(黒字11店舗、赤字6店舗)で賞金は利益を渡します。リベンジに燃える子どももいてとても活気があるそうです。
商店主もみんなが同じ思いで進むとはいきませんので、外の商店街を見る商店街観光ツアーを実践。参加者には1000円の会費を集めて、行った先の商店街で300円のお土産を3つ用意してもらう。自分でお土産を買ったことになります。そのしくみが結構好評で、お土産につられて個人的にまた出かけるという相乗効果が生まれ、二次的な活性化につながっているようです。
商店街が抱える課題は、品川区の108商店街も大同小異。とはいっても商店街が変わるヒントが宇宿にはありました。商店街自らがアイデアを出していく。そのために行政ができる商店街支援は、成功例などの情報提供や人材育成の支援ではないかと視察を通して思いました。(井上八重子)