「川内原発再稼働に反対し、エネルギー政策の転換を国に求める」請願24号は自民・公明などの反対で否決

「川内原発再稼働反対及び原発ゼロ政策への転換」を地方自治体から発信しようと意見書提出を求める請願は自公などの反対で否決(12月25日品川区議会本会議場)

『「川内原発をはじめとする原発再稼働に反対し、原発ゼロ政策への転換を求める意見書」を国に提出することを求める請願』は322名の署名とともに品川区議会に提出され、12月15日の総務委員会に付託され審議されました。

福島原発事故は3年半経過した今も原因が特定されず、収束とは程遠い状況にもかかわらず、事故を無かったことにして、原発再稼働に暴走する安倍政権を許せません。
同様の危機感をもつ市民団体や個人が賛同し、署名活動が行われてきました。また来年の統一地方選挙で『原発の再稼働に反対する候補者』を応援しようという実行委員会からも呼びかけがあり、全国の自治体の取り組みを生活者ネットワークも応援してきました。

 総務員会で12月15日に審議がおこなわれ、地元自治体議会が賛成しているとか、福島県民の気持ちを理解せずにこのような請願が出されることは許せないという反対意見がありました。(この意見に対しては賛成討論で私は考えを表明しました。別途)

賛成会派は民主改革ネット(1名)、共産(1名)無所属品川(1名)反対は自民(2名)公明(1名)、無所属(1名)となり会派では3会派が賛成に回りましたが、結果は賛成3、反対4で賛成少数で否決となりました。 

原発再稼働に反対の議員がだれなのか、総務委員会に所属していない議員もいますので本会議で明らかにするために、12月25日の最終本会議で、総務委員長の「委員会では賛成少数で不採択」という報告の後で、私は請願の賛成討論を行いました。

 国民世論は過半数が原発再稼働反対であるにもかかわらず、自公政権はあからさまに原発再稼働に舵を切り、原発再稼働を容認する原発設置自治体には交付金の増額をちらつかせています。国民の血税なのに腹が立って仕方ありません。

 

本会議場での採決は賛成17:反対21となりました。以下詳細にお知らせします。

請願に≪賛成≫

私・井上八重子(生活者ネットワーク)、民主改革ネット(稲川貴之さん、阿部祐美子さん、石田慎吾さん、向めぐ美さん、大倉考裕さん、松永よしひろさん、木村健悟さん)共産(石田ちひろさん、飯沼雅子さん、鈴木ひろ子さん、中塚亮さん、南恵子さん)無所属品川(須貝行宏さん、藤原正則さん、吉田あつみさん)無所属の高橋慎司さんの
17名

 ≪反対≫(議長除きますが、議長の石田秀男さんは総務委員会で反対意見を述べています。)
自民(伊藤昌宏さん、大沢真一さん、沢田洋和さん、鈴木真澄さん、須藤安通さん、本多健信さん、松澤利行さん、渡辺裕一さん、渡部茂さん、横山由香理さん)公明(阿久津広王さん、浅野浩之さん、金野孝子さん、武内忍さん、塚本芳弘さん、鶴伸一郎さん、山元敬子さん、若林広毅さん)無所属の西本貴子さん、鈴木博さん、原浩三さん21名

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以下賛成討論

私、無所属の品川・生活者ネットワーク井上八重子は、請願第24号「川内原発をはじめとする原発再稼働に反対し、原発ゼロ政策への転換を求める意見書」を国に提出することを求める請願に賛成の立場で討論を行います。

 この請願は、東京電力福島第一原子力発電所の事故発生から3年半が経過したにもかかわらず、いまだに事故収束に至らず、原因の究明もされていない、そのような状況下、〝原子力規制委員会は、九州電力川内原発が新規制基準に適合していることを確認したとし、その設置変更を許可、今後、工事計画や保安規定についての審査が進められる予定である″ことに対して、川内原発をはじめとする原発再稼働に反対し、一日も早い原発ゼロ政策への転換を求めて、品川区議会より国に意見書を提出してほしいとするものです。 

川内原発が新基準に適合していると確認されたことを受けて、他の電力会社もこぞって新基準適合検査申請を行う事態となっており、すでに高浜原発や大飯原発が新規制基準適合検査申請を出しています。政府が国民世論を無視して新エネルギー計画で原発電力を〝重要なベースロード電源と位置付けた″こと、〝新基準に合格した原発は再稼働する″と安倍政権が発信したことに起因します。一方では、福島第一原発廃炉に向けての作業は、昨年11月にようやく開始した4号機の燃料棒の取り出しが2014年12月20日にやっと終了したに過ぎず、1号機、2号機、3号機はメルトダウンや建屋の爆発の影響で高濃度の放射能に阻まれ人力では廃炉作業ができない状況が続いています。さらに、海水への汚染水防止の技術とされる凍土壁は失敗しています。福島第一原発の廃炉作業は40年はかかると言われていますが、実際には、今日も続く原発サイトの事故経過を最も把握する東京電力でさえ、今後どれ程の年月がかかるか予測できない事態です。 

川内原発は原発が新基準に適合したとされますが、そもそも新基準そのものが問題なのであり、再稼働に向けては大きな問題があることを以下、指摘します。

1つは、原発が新規制基準に適合したといっても、「基準への適合は審査したが、安全だということは申し上げない」という原子力規制委員会・田中委員長の住民説明会での発言にあり、新規制基準が安全を考慮した基準ではないという事実です。

2つ目は、東日本大震災をきっかけにして、日本は今、火山の活動期に入っており、巨大噴火の危険性を過小評価し、〝噴火したとしてもモニタリングで対応できる″などという九州電力の主張そのものが専門家によって既に否定されていることです。

3つ目は、あってなきが如しの避難計画です。風向きや地形、地震や台風など複合災害を想定することなく、「30キロ圏外にでればよい」とした計画に実行性は皆無です。さらに10キロ圏外の障がい者や高齢者など要援護者については、避難計画そのものが立てられておらず、社会的弱者の間に死者を含む多くの被害をもたらした福島の教訓は全く生かされていません。 

次に、総務委員会では〝川内原発の設置自治体である鹿児島県の議会が賛成という民意を示した″ことを根拠に反対、及び〝福島の原発事故の地元の気持ちにも寄り添わないで反対の意思表示をされる請願には不満である″という反対意見が述べられました。

鹿児島県の議会の過半数を占める議員が再稼働に賛成したことは事実ですが、原発のある薩摩川内市の市議会の原発対策調査特別委員会に寄せられた再稼働反対の陳情は11件、対して再稼働賛成の陳情は1件でした。また県議会でも同様に再稼働反対の陳情31件、再稼動を求める陳情は1件と圧倒的に再稼働反対の民意が勝っています。マスコミでは報道されていませんが、傍聴席には多くの住民がNO!というプラカードを掲げて審議を見守る映像がインターネット上で公開されています。これらの現状から立地自治体の民意を汲み取らないで、一体どこで市民の意思を汲み取るというのでしょうか? 

東日本大震災に伴う福島第一原発事故による被害の大きさに、地方に、一方的にリスクを押し付け有り余る電力を消費してきた都市生活を反省し、大多数の市民=国民が原発依存の電力からの脱却を希求してきました。

資源エネルギー庁の報告によれば2010年と比較して2013年は、省エネなどによって減少した電力は、原発13基分(789億kWh)の発電量に相当し、この発電量すべてを化石燃料で代替した場合と比較すると1.7兆円の削減に当たるとのことです。また2013年には181億kWh(原発3基分)が自然エネルギーによって発電されたことが明らかになっています。

2013年9月より国内のすべての原発が停止していますが、国民は原発電力を使わずに生活ができています。

この明白な事実をもって、品川・生活者ネットワーク井上八重子は、〝原発をベース電源としたエネルギー政策を転換し、早期の原発ゼロを政策目標とすること″〝再生可能エネルギーの普及促進、電力事業の自由化、発送電分離・送配電のしくみの見直しなどの政策化を図ること″を国に強く求め、政府は早急にその実行に取り組むよう求めるものです。 

以上の理由により請願24号の賛成討論を終わります。