都民の会陳情は賛成少数で不採択
羽田増便に伴う都心上空縦断ルートの影響を考える都民の会が取り組んだ「羽田増便に伴う都心上空縦断の新ルートの情報公開と都民の安全を求める陳情」は1271筆(事務局発表は1168筆)の署名を集めて都議会に提出されました。6月8日の都議会都市整備委員会で同陳情が審議されたので都民の会メンバーと共に傍聴しました。
都議会の中では自公はじめ「白紙撤回」の主張では門前払いという議会の内情もあるため請願趣旨は事実に基づく主張としました。都議会各会派の十分な審議と発言を求めたいという思いで傍聴しましたが、結果的に委員会14名中発言議員はたったの4名で、審議に一言も参加されない委員がほとんどでした。
審議の結果、現員14名中賛成2名の賛成少数で不採択となりました。委員会には都議会生活者ネットワークは所属していませんので、賛成の意見表明を発表することができないのは残念です。
東京都議会自由民主党、都議会立憲民主党・民主クラブからは意見表明があり、品川選出の、都民ファーストの会東京都議団、日本共産党東京都議会議員団が質疑を行いました。都議会公明党の発言は無く、考えを知ることはできませんでした。
自民党は騒音対策、落下物対策、地域住民への情報提供に万全を期すことを要望しており、都もそれに応え成果が出ていると主張し不採択。他方、立憲民主・民主クラブは、海から入って海から出るルートが内陸上空のルートとなり都民の不安はもっとも。落下物など絶対にあってはならないので更なる安全対策の徹底を求めると賛成かと思いきやの不採択でした。
都民ファーストの質疑の主なところは、直近3件の同様趣旨の請願陳情と同様説明責任の徹底を国と都に求めるというもので請願願意そのものですが不採択でした。
共産党委員の質疑で特記すべきは「落下物事故と住民の理解の具体的状況」に対する東京都の認識ではなかったかと思います。
国土交通省が新たに昨年11月から主要7空港で落下物報告を求めたところ、5月までの7か月で219件もありました。この数字を東京都は認識した上で「落下物はあってはならない」と繰り返しました。そして今年3月に同省が発表した「落下物対策総合パッケージ」の実効性を求めたいと、あくまでも都の問題ではない、という他人事の答弁姿勢は不誠実であり情けなくもなりました。
答弁の中で、落下物未然防止を目的にした、駐機中の整備が、整備士の未資格者でも専門的な研修を受けた職員でも可能となっているという事実には驚きました。
国は効率化の名のもとに規制緩和を繰り返し、安全基準を切り下げています。例えば駐機中の機体チェックは国家資格を持つ整備士複数名が点検をしていたものが、一人でも可能と緩和されました。製造メーカーが飛行間点検を免除した航空機は機長の出発前点検で安全性の確認をし、不具合発生時の体制が整っていれば整備士の点検は省略してもよいというのもあります。
そもそも国が安全基準を大幅に後退させておきながら、今度は少しだけ前進して、事故が起きた時の被害には何らかの補償をしますという、住民の命も生活も軽んじるような机上の対策は到底受け入れられません。
もう一点、地元の理解を得るとは具体的にどのような状況かと問われ、都は以下のように答弁。国は、首都圏空港機能強化の具体化に向けた協議会を開催する予定で、その際、都は都および関係市の連絡会を開催し、関係市の意見を取りまとめると。
「意見を取りまとめる」というのは曖昧であり危険です。連絡会で明確に賛成という自治体が多数でなければ、都は国に新ルート容認と回答すべきではありません。誰がどこで決めたのか不透明のまま、国が決めることと、都が逃げることは許されません。
今回の都民の会の陳情は不採択になりましたが、都議会には過去同様趣旨の請願陳情が7件、7000人の声が届いています。
今後も新飛行ルートの白紙撤回を求めて市民運動が続きます。
6月14日に開催された院内集会で、主催者である羽田増便による都心低空飛行計画に反対する東京連絡会から、国土交通省大臣あてに新飛行ルートの白紙撤回を求める署名行動が提案され、満場一致で取り組みが決定しました。10月を目途に10万必署名に取り組みます。
品川・生活者ネットワークも今後も引き続き白菜撤回に向けて取り組んでいきます。(井上八重子)
6月28日開会の品川区議会第2回定例本会議の一般質問で、吉田ゆみこが29日(金)2番目に登壇し羽田新飛行ルートの白紙撤回を濱野区長に迫ります。