濱野区長が初めて行う「施政方針」では、新年度に向けた施策執行の考え方と予算編成への重点項目が示され、『前区長の不断の行財政改革による健全財政と先進的施策をしっかりと受け継ぎ進める』立場を鮮明にした所信表明となった。
区長の重要施策として示された項目は、品川区基本構想の改定と第四次長期基本計画の策定。中学3年生までの医療費無料化、幼稚園入園料助成の公私格差の是正、区立保育園3園の認定子ども園への移行。小中一貫教育推進のための区独自の教員採用への検討、スクールカウンセラーの増員、学校の適正規模の在り方検討会設置、五反田文化センターと日野第一小学校を一体型とする改築、都南病院跡や原小学校跡へのケアホーム建設などさまざまだ。
この中で特筆することは「パブリックコメントを制度化する」としたことであろう。「多様なライフスタイルと市民ニーズがある時代に、行政がすべてのまちづくりを行うときではない。区民の声を聞いて施策を進めたい」とした。遅きに失したパブリックコメント制度だが、これは、生活者ネットワークが市民参加の区政運営を求めてきたことが形になったといえる。意見公募の方法、開示、施策への反映など制度内容は今後を待つことになるが、生活者ネットワークは、計画段階からの徹底した行政情報の公開を前提に、行政の説明責任、市民協働のありようなどを盛り込んだ制度づくりを求めていく。
3月5日から予算特別委員会の集中審議が行なわれるが、「基本構想の改定、長期基本計画策定における徹底した市民参加」「小中一貫6校構想を凍結し、学校適正規模の議論を検討会だけにとどめず地域で議論を進めていくことの重要性」「学校現場の余裕を奪う管理型の教育行政から脱し、先生と生徒が向き合える環境づくりへの転換」「2008年から焼却が予定されている廃プラスチックの分別変更地域拡大や、リサイクル品目拡大も根本的なごみ減量には寄与しない施策の問題」「自立支援法を受けての、障がい者の一般就労への支援策の不備」「施設整備は促進されるものの、在宅介護の基盤はなお貧弱である実態」など、生活者ネットワークの政策に照らすと課題が多い舵取りといわざるを得ない。
今年度一般会計の予算規模は、1345億円。地域で、継続的に聞き取ってきたおおぜいの生活者の“声”を代理し、発言する役割を十分に発揮し、審議に臨みます。
▲生活者ネットは、リサイクルやごみ処理にかかる自治体費用の全面公開を求める「廃棄物会計調査」に継続的に取り組んできた(写真は中間処理施設の視察から)。廃プラスチックなど容器包装ごみの処理費用は、税負担から生産者責任へと転換するべきであり、そのための法整備が急がれる