さて、文化センター改築にあたっては、これまで当事者からの要望が強かった音楽ホールおよび練習用スタジオ(6室)が設置されることになります。そこで、音楽活動などにかかわる当事者へのヒアリングを重ね、予算特別委員会の審議では、ようやく盛り込まれた計画に利用者の意見が可能な限り反映されるよう提案しました。
ようやく実現する音楽ホール・練習スタジオを、
多くの人に活用されるものに
音楽関係者へのヒアリングからはさまざまな課題がみえてきます。最も問題なのは練習場所で、▼打楽器の音漏れから区内の施設はほとんど使えない、▼演奏会を前に全体練習ができる場の確保が困難、▼音響のよい会場がないため、大田区・港区・目黒区など近隣区のホールを使ってきた――というのが実態。施設整備についても、▼シューボックス型の設計や反響板の設置が不可欠であること、▼舞台は低くしたほうがよい――など、具体的な要望は多岐にわたりました。また、音響専門の設計者からは、▼第一に低周波振動対策が不可欠となること(和太鼓・打楽器・大型金管楽器・コントラバスなどの低周波振動・衝撃波は、建物全体に直接共鳴するため)、▼250人規模の音楽ホールを予定していることから、想定される利用団体に適した音響環境を設定することが重要――などの指摘がありました。
総合区民会館・きゅりあんには、大小ホールがありますが、楽器の音が上部に吸い上げられてしまい反響しない、躯体への共鳴・振動があり和太鼓が使用できないなどの状況にあり、音楽ホールとしては不向きな設計になっていることも専門家が指摘するところです。きゅりあんでコンサートを開いたプロのバイオリニストが、設備の不備から不評をかったと関係者から同情されたという実話もあるほどです。文化センターの改修には音響施設専門の設計者がいる事業者を選考することは最低条件であり、プロポーザルの選考条件とするよう求めました。
私もよく出かける「港区高輪区民センターホール」などは、華美ではありませんが非常に音響が優れていることから、音楽関係者には評判がよく、稼働率も97%超とのこと。交通アクセスが良好とはいえない五反田文化センターだからこそ、「ここで演奏会を開きたい」と思わせる芸術の発信基地として生まれ変わるよう、そして、なにより区民が日常的に活用できる施設となるよう期待したいものです。
▲写真は現在の五反田文化センター(右)と教育センター(左)