今回の改訂版では、新たに検討が必要な項目として「被害想定の拡大への対応」「都市型災害への対応」を挙げており、具体的な課題としてエレベーター対策や高層集合住宅対策などまさしく都市型の災害という視点が見られます。
品川区のまちなみは、木造住宅が密集したエリアと超高層集合住宅の建設ラッシュが進むエリアと2極化しています。木造密集地域は不燃化・耐震化に取り組んでいますが、高さ100m以上の住宅でエレベーターがストップしたら地上に降りられるのか、復旧するまで階段を利用して部屋に戻れるのか。災害物資が地下室のみだったらと気になります。地域性に基づいた対策が必要ですが、もっとも究極は長期的なまちづくりの課題であることは明らかです。災害対策という狭議な視点では、まちや人の命は守れないということを強く感じます。
さて品川・生活者ネットワークでは、地域住民がまちづくりに積極的にかかわっていくための市民自治講座を行っています。
第2弾は「品川区地域防災計画」を読み解くというテーマで9月14日に行ないました。
講師は他区自治体職員で防災関係の著書もある高橋洋さんという方です。防災に関する部署に長く在籍し、自主防災組織の育成を担当してきた実践を元にいろいろとお話を伺いました。各地域で防災訓練が行われる時期でもあり、参加者からは講師のお話がわかりやすかったと大変好評でした。
講座の中にまさに目からうろこという話がありました。それは防災訓練といえばみんなで集まってぞろぞろと避難所に行くのですが、本当の災害時には自宅に不都合がない人は避難所へ行ってはいけないという事です。私は災害時にはとにかくみんな避難所に集まりそこで安否確認をするというルールがあると思っていたのですが、それは間違いです。
停電や断水だけで避難所に行ってしまったら、本当に家が倒壊したり、非難警告が出された地域の人の居場所を奪ってしまうのです。またボヤがでたときに無人になると火を消す人がいなくなるし、実際に起っているのですが、空き家を狙い悪さをする人も出てくるというのです。
ここに参加した多くの人が間違いに気づきました。まだまだ誤解の上に立つ防災の知識がありました。高橋さんの言葉を借りるならば「頭脳の防災訓練」が必要だと痛感しました。