毎年恒例の「NO!寝たきりデー2007」に参加しました。今年で18回を迎えるこのイベントには全国から多くの人が集まり、主催者の発表では202人ということでした。
以前は嫁や娘に任されてきた介護ですが、今では高齢な夫婦同士、あるいは高齢の息子というケースも珍しくありません。2000年から始まった介護保険制度は介護の社会化が実現するのではと期待されました。
「生活の質」を守り、社会全体で高齢者の介護を支え、自立した生活を支援していこうと夢があったのですが、5年後の見直しでは、家族がいる人はサービスが減らされ、たった5年で制度が後退してしまいました。そんなことから今年のタイトルは表題のようになったのでしょうか。
わたしが参加したワークショップは「施設入所を求めるのは、なぜ?」という分科会。
パネラーは在宅介護の経験者、介護保険の相談員の方、そして特養で勤務経験のある方がそれぞれの立場で、在宅か施設かの問題提起をされました。
お母さんを10年にわたり在宅介護をされたパネラーの一人、井上さんは在宅介護の条件は介護者をサポートする家族がいること(一人で抱え込まない)、介護者が介護の情報と技術を持っていること、介護専用の居室、公的制度の利用や近所のかかわり、そして介護者の健康と自立度が大切なことなどあげられていました。
私も遠距離ながら義母の介護に携わっています。少し前までは、在宅で介護保険のサービスのデイサービス(月、木)訪問看護(火、金)を組み合わせ、1週間の中一日は私が日帰り、週末は子ども3人が交代で帰省、夜間は高齢の義父がということで過ごしてきました。しかし義父の疲労が溜まっている様子が心配で、在宅介護は長く続けられませんでした。そして今はショートステイトと外泊の組み合わせプランです。
どうして施設入所を求めるのか?
私も当事者として痛切に思うことですが在宅を望みながらも、在宅をあきらめる一つに夜間介護の問題があるのではないでしょうか。対策として会場からは特別養護老人施設の夜間訪問介護のノウハウを在宅に活かせないだろうかと発言がありました。一方で福祉士を養成している方からは安易に導入は出来ないと否定的な意見がありました。
それは介護従事者の報酬が低く、施設でも人材確保が困難な状況では夜勤体制を在宅にまで広げるということはシステムをきちんとつくってからでなければだめというのです。コムスンの二の舞になりかねないと。
制度維持のためには財源確保も重要ですが、まずは介護現場で働く人の身分保障を真剣に考えなければ早晩この制度は破綻してしまうのではないでしょうか。
いろいろな課題のある介護保険制度ですが、介護する人、支援を受ける人の人権がお互い保障されるしくみを、市民の英知を集めて議論していきたいと思います。