再生センターを見学したのは8月6日で大変暑い日でしたが、その前の日に局所的な大雨で豊島区の下水道工事をしていた作業員の方が亡くなるという事故がありました。異常気象だけでは済まされない問題が見えてきます。
センターではまず会議室で職員の説明を受けました。ビデオは子ども用のアニメと大人用がありますが、どちらにします?と聞かれましたが、異議なしでアニメバージョンを見ました。トイレや生活排水の汚水と雨水はどうやって処理場に行着つくのか、とてもわかりやすいビデオになっていて面白い見学になりました。
品川区内の下水道管は汚水管と雨水管が合流しています。通常は汚水が流れていますが雨が降ると雨水が合流して、一定の量を超えると河川に放流されるように下水管に堰作られています。この堰は目黒川沿いに約50箇所と立会川の関ヶ原の所にあります。大雨が降った時に目黒川、立会川が汚水で汚れるのは、下水処理場で処理しきれない量の雨が降った時に雨水で薄められた汚水が川に流れるからです。特に河川に放流された最初の汚水の臭いや汚れが深刻なのは、下水管に付着した油やごみが増水した水で一気に洗い流されるからです。
雨水と汚水を混ぜるより雨水は直接河川や海に放流できれば河川浄化にも有効ですから分流式が望まれます。1970年ごろからは法律で分流式にするよう定められたため、下水道整備後発のところは分流式になっています。ちなみに八潮団地は分流式です。分流式に変更するとすれば別に新たな管を作ることになり都内の住宅密集地で住民の合意が得られるか。住宅内でも汚水と雨水を別に下水管にする工事が必要です。新たな負担につながりこちらも極めて困難というのが行政の判断です。
しかし本当に分流式の下水道管は無理とあきらめて良いのか疑問です。今後減災対策として家屋の建替えや耐震工事の促進が図られます。これを好機と捉えて50年の長期的なまちづくりを考えたらよいのではないでしょうか。住宅のほうだけでも分流式に接続可能な対応をするところには助成して、下水道管も長期的に分流式にするという方針を持ってまちづくりをすすめれば決して無理なことではないと思います。
さて水再生センターですが、大きなごみを取る沈砂池、ゆっくり水を流して汚れを沈殿させる沈殿池、微生物の入った活性汚泥で5~6時間かけて分解させる反応槽、最後は塩素消毒して海や川へ流すという施設を1時間かけてゆっくり見学しました。反応槽では施設電気量の6割を微生物が働くための酸素を送り続けるために消費しています。下水の出口は大変なコストをかけて処理していますが、入口で糸ミミズも殺さない石けんを使えば、酸素を送る量は少なくて済むのではとふと思いました。下水道局の方、ぜひ研究してください。下水道料金の値下げにもつながるかも・・・
(井上八重子)