アンケート結果からは特に検診や出産費用の負担が重いことが明らかになりました。品川区の妊婦検診の補助は2007年で2回、2008年からは14回に増えて大変喜ばれています。この財源は国負担が5回分で、残りの9回分は全額、区の税金です。
しかし、2009年は新聞でも報道されていますが、国が14回の検診費用を負担することになりました。ただからくりがあり、2年の期限付きで、自治体が検診に使おうが、他の財源に当てようが、かまわない交付金扱いです。そのため財源不足の自治体では検診補助の回数を減らしているところもあります。品川区は2年後に国から財源がなくなっても、14回の検診補助は継続する姿勢です。
出産費用ですが、自宅分娩や助産院での出産も見られ、17万円から200万円までと幅が広いことが分かりました。しかし40万円以上が6割を占めています。
昨年、品川区の条例で35万円の出産育児一時金を38万円に増額する改正を行いました。増額した3万円は、正常分娩で脳性まひの子どもが産まれたときの補償金に当てられるもので、出産費用に上乗せられるので、実質負担の軽減になりません。
質問⇒港区など複数の自治体で行っているように、出産費用と出産育児一時金の差額を助成して、子どもを産みやすい環境を支援せよ。(ちなみに港区は上限60万円として、差額を助成する制度です。)
答弁⇒国で健康保険法が改正され、‘09年10月から4万円を上乗せする条例改正と補正予算を今回の議会に上程しているので、可決すれば38万円から42万円になる。国でも出産費用に関して健康保険法の改正が検討されているようなので、国の動向を注視したい。
さて今回の国民健康保険特別会計の補正予算は、年間出産件数を500件と見込み、10月から6ヶ月で1000万円(国庫負担1/2、区1/2)です。関連する条例改正は「子育て支援を目的に」といいながら、国の財源支出は2年間だけで、一時金が42万円になる人は‘09年10月1日から‘11年3月31日に出産した人だけです。不公平感はこの上なく、定額給付金や子育て応援支援金と同様、あきれるばかりです。
4万円の増額は歓迎するところですが、出産できるところも限られており、費用の少ないところを選べなくなっている状況です。妊娠中は精神的にも不安が多い中で、出産後の費用を心配しながら妊娠期を過ごさなくてはならないのは、胎教にもよくありません。経済的に厳しい、特に若い世代には支援が必要です。<井上八重子>