介護の社会化を後戻りさせないために

著者 稲垣久和教授と
著者 稲垣久和教授と
6月19日(土)の東京新聞に以下のような記事が掲載されました。
友愛と連帯に基づく「公共福祉」をキーワードに福祉思想の根本的転換を提唱している東京基督大学教授の稲垣久和教授(NPO公共哲学研究会共同代表)が「公共福祉という試み~福祉国家から福祉社会へ」(中央法規出版)を出版されました。

その出版記念の集いが霞ヶ関ビルの東海大学校友会館で7月3日に行われました。
基督大学の関係の方や神奈川県立保健福祉大学名誉学長はじめ福祉や公共哲学を専攻されている学者、ジャーナリストの皆さんが集まりました。その中で私も発起人の一人として出席させていただきました。私がなぜ発起人かというと、一つは稲垣先生と同じ東京都品川区在住であること。二つ目は地域政党の議員として、市民が自治することをめざしボトムアップの地域政治を実践していること。三つ目は、品川区にワーカーズコレクティブという働き方で、介護や子育て支援という自立支援サービスの現場を持っていることです。

公共哲学を研究している稲垣先生の本なので、難しいだろうと構えて読みましたが、子育て介護を担ってきた私たち女性には非常に身近な問題で、特に仕事と生活の二元論ではなく、仕事と生活そして、活動・参加という公共を加えた三元論の考え方、介護の社会化を後戻りさせないための、公共福祉へ市民が参画するための提案など共感するものが本著にはたくさんありました。福祉の充実に負担もやむなしと私も思っていましたが、高福祉高負担の北欧型福祉社会の歴史的背景を知れば、日本に当てはめるのはそう単純なことではないことも分かります。

前出の東京新聞の記事に≪同書で稲垣氏はまず、従来の国家による福祉を「公福祉」と呼び、契約制度のもとでの地域主権と領域主権(生活者領域の主権)に基づく福祉を「公共福祉」と位置付ける≫というくだりがありますが、何のことかわからないと思います。
だから皆様も是非読んでみてください。・・・・なるほどと思えることがたくさん詰まっています。(井上八重子)