キュウリとナスに願いを込めて

農作業で心地よい汗もかきました

この畑の中に8人がいますが、私もどこかにいるはずです
この畑の中に8人がいますが、私もどこかにいるはずです
 お盆はご先祖様の霊を供養するもので、正式名称は[盂蘭盆会・うらぼんえ]と言い、キュウリとナスにも意味があるという。はて?
キュウリは馬の例えで、お盆のときに、少しでも早く迎えられるようにと願い、ナスは牛を表現し、お盆が終わって、帰るときはのんびりと帰れるようにとの願いがあるとか。

なるほど、私の実家でもキュウリとナスにカヤをさして足をつくり、ゆでたそうめんを鞍にしてお供えしている。これに乗ってくるというなんとなくのイメージはあったが、ちょうど庭先にある野菜ぐらいにしか思っていませんでした。
そして13日の迎え火では木戸先で火をたき「盆さん盆さんこの灯りできておくれ」と繰り返し言ってご先祖様を呼んでいますが、これも全国一律ではない。ある地域ではお墓まで迎えにいって、おんぶする格好をして家まで迎えるという話を聞いたことがあります。義妹の生まれはとなりの山梨だけれど、キュウリとナスは供えたことがないといい、初めてキュウリとナスで馬と牛を緊張するといいながらつくっていました。

このお盆を迎える13日の午前中、今年は大仕事をやりました。それは収穫を終えたとうもろこし畑での作業です。カラスやハクビシン(ほかにも悪戯する動物がいるらしい)にもろこしを食べられないようにするために張りめぐらしたネットをはずして、さらにマルチという黒いビニールをとりはずして、トラクターで畑を耕すというものです。

例年は母と弟夫婦で行うのですが、今年は76歳のパワフルばあちゃんを筆頭に弟夫婦と私達夫婦、娘夫婦と5が月の孫、息子の8人+1人で畑に繰り出しました。+1人はわけも分からず軽トラックの荷台ですやすやと眠っていました。農作業などしたことのない娘の連れ合いも、もろこし切りを一生懸命手伝ってくれました。ミョウガ堀も一緒にしたのですが、お金払って農業体験する人がいるのに嬉しいねと娘は能天気に話しかけていましたが、農業を生業にしている人たちの苦労はおばあちゃんの姿を見ているのでよく分かっています。

スーパーに並んでいる野菜を見てもつくっている人の姿は見えません。でも食育とか難しいことをいわなくても、実際に土に触れ植え付けや収穫をするという体験ができたら、野菜に対しても命を頂くという「いただきます」が自然にいえる人になるのではないでしょうか。学校給食で給食費を払っているのに「いただきます」と言わせるのはおかしいと苦情を言う保護者がいるということは残念です。都会の子ども達にも体験できる場があればいいなと思います。(井上八重子)