地域分散型の自然エネルギー政策へ転換を

1986年4月チェルノブイリ原発事故から25年

4月8日、品川上映会実行委員会主催の「ミツバチの羽音と地球の回転上映会in品川」は大勢の方に足を運んでいただきました。中小企業センターのレクリエーションホールは人で溢れ、立ち見となってしまわれた方には申し訳なかったです。東日本大震災の影響で、映画館での上映が自粛されていたためでしょうか、自主上映会へ遠くから参加してくださった方の多さにも驚きです。

「ミツバチの羽音と地球の回転」は完成前にぶんぶん通信というミニレターDVDが出されていたので、品川ネットは以前にも上映会を行っています。上関原発に29年間も反対し続けている島民の苦闘がミニレターでも十分に伝わりましたが、改めて135分の全編映画を通して、中国電力の漁民への理不尽な扱い、豊かな漁場で普通に生活する糧を奪う権利が中国電力にあるのかと憤りと怒りがこみ上げました。

上映会の後、ゲストの貝類多様性研究所所長の山下博由さんから写真を見ながら田ノ浦に生息する希少生物のお話を聞きました。原発計画が進めば当然こういった生き物は生きていかれません。われわれ人間は生き物や自然に対して、こんなにも横暴で強権的でいいのでしょうか。われわれ人間といってもそれは一部の人。(知らないでいるといつの間にか一部の人に含まれてしまう)しかしその一部が大きな権力をかざして、自然を大切にして共存して生きている人たちを蹴散らしている。この現実を多くの人に知ってほしい。4月16日から渋谷のユーロスペースで上映会が再開されるというのは朗報です。

鎌仲監督からはショッキングな話が次々と飛び出しました。
上関原発計画地では、原子炉設置許可申請もしていないのに、地質調査と称して、2月21日から取水口予定地付近に石や砂を落とす工事が強行されてしまいました。さらに3月11日以降の福島第一原発事故の後も、中国電力はその折であってもお構いなしに工事を続行。安全対策を再検討しなければならないと専門家も指摘し、世論も原発に対して不安視している最中に、中国電力は「安全な原発」を作ると明言したという。
福島第一原発では、昨年第3号機でのプルサーマルを県民、町民が容認するか否かという判断を迫られた。期日を境に容認すれば200億円、拒否すれば1銭もやらないと札束で顔をはたくようなことが行われていた。

政府も原子力産業を後押しして、さらに巨大な権力を持った東京電力が犯した罪は甚大です。地震列島の日本に54基もの原発を稼動させたしまった責任は、想定外では通用しません。1986年4月26日に起こったチェルノブイリ原発事故の現場数百キロ離れた場所では、今尚農産物を通して人々は放射能汚染にさらされているといいます。将来私たちが、チェルノブイリや福島のような悲劇を二度と繰り返さないためには、原発など人や自然を傷つけるエネルギーではなく、災害に強い分散型の自然エネルギーと徹底した利用効率化の推進へ日本のエネルギー政策をシフトすることが急務です。(井上八重子)