講師は高木学校の薬剤師の奥村晶子さん。仕事の傍らこういった学習会に飛び回っている方です。特に福島原発事故以来、高木学校への講師依頼が増えているようです。
私もこの会で基本の木として確認できたことがありました。ひとつは単位の問題です。シーベルトとベクレルの意味は?
1ミリシーベルトは平均して1本の放射線が細胞の核を破壊する力。5ミリシーベルトだと5倍の破壊力になるというイメージを持てばよいということ。ベクレルはその物資が出す放射線の量を示しているということです。
そしてもうひとつは数ベクレルの食物を食べた時どれだけの影響を受けるのかというベクレルからシーベルトへの換算方向です。
食品汚染濃度(ベクレル/㎏)×食品摂取量(㎏)=体内取り込み量(ベクレル)
体内取り込み量(ベクレル)×実効線量係数=被爆線量(マイクロシーベルト)
実効係数はヨウ素131では成人1.6×0.01、幼児7.5×0.01、乳児14.0×0.01と乳児は大きくなっています。セシウムでは成人1.3×0.01、幼児・乳児は未設定ということで大きな違いはないと見られています。(※原子力委員会の評価指針より)
東京都立川市で3月20日に採取されたホウレンソウからヨウ素131が1.300ベクレル/㎏、セシウム137が108ベクレル/㎏検出された。このホウレンソウを毎日100gずつ1年間食べ続けたと仮定した被爆量を計算してみましょう。
成人ヨウ素 1.300×0.1×365×1.6×0.01≒759マイクロシーベルト
セシウム 108×0.1×365×1.3×0.01≒51マイクロシーベルト
合計 810マイクロシーベルト=0.81ミリシーベルト
乳児ヨウ素 1.300×0.1×365×14.0×0.01≒6.643マイクロシーベルト
セシウム 成人と同じ 51
合計 6694マイクロシーベルト=6.694ミリシーベルト
計算上このようになるということをまず理解しました。
内部被爆はあくまでも足し算となること、基準値はあくまでも暫定すなわち安全値ではない、晩発障がいにはしきい値がないこともわかりました。基礎知識を持ちながら、拡散してしまった放射線と付き合う方法を少しだけ理解することができました。(井上八重子)