日常的に権限を現場に与えることが大事!
共生共走マラソンプレイベント講演会
2012年8月5日、第16回共生共走リレーマラソン実行委員会が主催する「東日本大震災を障害者は、どう生きのびたのか」という講演会が中小企業センターで開催されました。
宮城県仙台市「まどか荒浜」という障がい者施設の施設長中村正利さんと、福島県田村市の障がい者自立支援センター〈福祉まちづくりの会〉の鈴木尚美さんのお話を聞きました。
東日本日本大震災後に東京都は直下型地震による被害想定を大きく見直し、それに合わせて都区自治体では新たな地域防災計画策定に取り組んでいます。机上の計画では想定外には対応できない。ましてや行政の中で計画策定に取り組んでいるのは、身体的に不自由のない人たち。ハンディのある当事者の声をどう反映したらいいのかと私は悩んでいたので、この講演会の案内を要援護者の対策を所管する防災課と障害者福祉課、高齢福祉課に届けました。いろいろな機会を通して情報共有を図りたいと思っています。だから参加して下さった職員には感謝しています。
さて3.11震災当日の避難はどうしたのか?
指定された避難所へ行く道路は通行できず仕方なく別のルートで別の避難所に。そのおかげでみんなが無事に避難することができた。今回の震災ではマニュアル通りが失敗しているケースがあったことを教訓にすべきと中村さんはおっしゃっています。
日常的に現場に判断・権限を持たせること。選択肢のあるマニュアルを用意すること。想定を疑え。率先して逃げろ。命が最優先!!
肝に銘じたい説得力のあるお話でした。
生まれつき脳性マヒの鈴木さんは原発から40キロ離れた自宅にヘルパーに「来てください」とは言えなかったし、言語障害でコミュニケーションが難しい上にトイレも食事もひとりでは出来ない私が、もしひとりで体育館などに避難していたらどうなるかわからない。そう思って自主避難を決断し、介助者と事業所の仲間12名で会津、新潟のホテルで3週間過ごしたといいます。介護時間が3月は32.5時間増えてしまったので田村市に変更申請をしたが、受理してもらえなかった。命を守ることを人の手にゆだねなければならない人に対して緊急時に柔軟な対応が取れない行政の課題が浮き彫りになりました。
お二人のお話を聞いて、緊急時には柔軟な対応をとれる計画、マニュアルが必要である事。そして指揮系統の指示待ちではダメだということを気付かせていただきました。
区の計画では随所に区長の指示のもとという文言が見られます。現場意識を常に持つこと、そのことが非難されない組織力をつけていくということを今後は力強く求めていきます。(井上八重子)