なぜ、品川区は出席停止を積極適用するというメッセージを出すのか

 

いじめ防止に関する手引書には、出席停止に至るまでの事務手続きの流れが示されている。報告書や計画書の作成に追われ、問題解決に子どもに向き合う時間はなくなりそうだ。

910日に民主・改革ネットの会派に向けて、教育委員会指導課主催で「いじめ防止に関する手引書」の勉強会が行われました。820日に開かれた文教委員会で初めてこの件が説明されて、その週の金曜日(24日)にマスコミ報道がされています。それ以来、テレビや新聞に「出席停止のマニュアルを作った品川区」という事で報道されるようになりました。

 「マスコミの出席停止という報道に地域で、議員はいろいろと質問を受けている。議員に誤解のないよう説明をして欲しい」という区長の要請で今日の勉強会を開催したと教育次長が説明しました。ん~~~それって、会派から説明を求められたからではありませんよという宣言??

 それでも説明は始まり、95日(水)、日野学園に区立小中学校と幼稚園の教員1200人を集めた臨時研修会と同様の説明を私たちは聞きました。品川区の「いじめ」に関する考え方・対応についてと読み上げられたのは、2006年文部科学省通知であり、いじめは「どの学校でも、どの子にも起こり得る」問題であることを十分認識すること。あるいは学級担任等の特定の教員が抱え込むことなく、学校全体で組織的に対応することが重要といった至極当然のことの内容でした。そしてこれが教師の間で共通認識になっていなかったと反省の弁が聞かれました。ならば、なぜ、ここを徹底するという方向に品川区は進まなかったのか。

 なぜ出席停止を積極適用というメッセージを品川区教育委員会は発信する必要があるのかと質すと、「品川区は教育委員会、学校、教師が一丸となって自殺する子を出さないと子ども達に伝える」ためだと区教委統括指導主事は答えました。

 自殺に、子どもを追いやる原因は、SOSを発信している子どもや、周りで見ている子どもの声を「いじめ」と認識できなかった大人に原因があるという事が、この期に及んでまで認知されていないようです。けんかやわるふざけと軽率に判断する大人の問題を、子どもに出席停止になるぞと脅すやり方は問題のすり替えでしかありません。 

これでは、品川区の学校は子どもたちに見放されることはあっても、子どもの信頼を得る事は出来ないでしょう。(井上八重子)

 出席停止に至るチャート図(教育委員会)