スウェーデンの高齢者ケアから学ぶ

 なぜスウェーデンの認知症高齢者の顔は「にこやか」なのかその原因がまだわからないという藤原瑠美さん。11年に及ぶ働きながら認知症のお母さんの在宅介護を終えたのが2000年の10月。それから福祉を学び、定点観測地として選んだスウェーデンエスロブ市に自宅と現地を2005年から9回ほど往復し、通算で260日ほどにわたり当地の介護研究を続けられています。その研究成果は著書「ニルスの国の高齢者ケア エーデル改革から15年後のスウェーデン」・「ニルスの国の認知症ケア 医療から暮らしに転換したスウェーデン」にまとめられています。

品川・生活者ネットワークは藤原瑠美さんを講師に『超高齢社会をどう迎え撃つ~スウェ

福祉勉強会「ホスピタリティ・プラネット」主宰する講師の藤原瑠美さん

ーデンの高齢者ケアから学ぶ』と題した学習会を9月7日(土)中小企業センター大会議室で開きました。 

スウェーデンの介護は日本のように保険制度ではありませんが認定をして、必要な介護プランに沿ってケアをするというしくみは同じです。そして何より効率重視で制度がシンプルということがわかります。 

スウェーデンでは病院が少なく病院はほとんどが公立であり、人口943万人に対して管区病院8+県立病院が65(130.000人に1病院)地区診療所が1.075(8.800人に1地区診療所)です。
一方、日本では国・公立17.8%、私立66%、人口1億2000万人に対して病院数8.605(14.000人に1病院)一般診療所99.547(1.205人に1診療所)というのにも驚きです。

ですからスウェーデンのエーデル改革以降は看護師が市の高齢者福祉の現場で重要な役割を担っています。さらにエスログ市では医療的な研修を積んだ介護福祉士と看護師の中間的存在のアンダーナースが介護スタッフです。高齢社会の軸を医療から保健・福祉へと転換している様子を知ることができました。 

藤原さんのお話は、スウェーデンの介護がいいからマネしようということではなく、スウェーデンでの介護を参考に、日本の高齢社会を安心して生活するために市民が考えるきっかけになりました。 

奇しくも国の社会保障国民会議において8月6日に出された報告書では、介護予防にあたる要支援1・2を介護保険給付からら外すことも検討されています。介護保険制度は国の制度ですが、保険者は自治体つまり品川区です。行政だけにお任せしないで、共に安心して暮らせる福祉制度をつくるためには市民として介護保険に限定しない、健康づくり、介護予防、生活の場とケアの充実など提案していくことが必要なのだと、また大きな宿題が生活者ネットワークに増えました。(井上八重子)