子どもの権利条約批准20周年記念集会に参加しました
4月22日、子どもの権利条約批准20周年の集いが参議院会館で外務省、内閣府、厚労省、文科省など子ども権利条約にかかわる省庁と子どもの権利保障に取り組むたくさんの市民グループ、国会議員、地方議員が参加して開催されました。事前に用意された資料は全然足りず、開始時間12時をちょっとまわって会場に着いた私も資料を手にすることができませんでした。
批准20周年を迎えた感慨もあるものの、一方で子どもの権利が守られていない、条約が活かされていないという落胆が入り混じった会だったような気がします。外務省、内閣府、厚労省、文科省の役人から、子どもの権利条約に沿ってこんなにたくさんの事業をやってますという報告がありました。しかし子どもたちを取り巻く環境は安泰とは言えず、安心して生きることができない子どもへの支援が不十分です。児童相談所の一時保護施設は足りない、養護施設の数もスタッフも足りません。貧困の格差も格段と広がっています。
日本政府は子どもの権利条約の実施状況を国連に報告する義務があります。そしてその報告に対して国連・子どもの権利委員会からは条約締約国に対して勧告が行われます。
日本の教育システムがあまりに競争的なため、子どもたちから、遊ぶ時間や、からだを動かす時間や、ゆっくり休む時間を奪い、子どもたちが強いストレスを感じている こと、それが子どもたちに発達上のゆがみを与え、子どものからだや精神の健康に悪影響 を与えていることが指摘され、適切な処置をとるよう勧告されています。
指摘の通り、過度の競争教育で学校が楽しめない、生き辛さを感じながら生活の大半を学校で過ごしている子どもがなんと多いことでしょうか。
後半の記者会見では尾木ママこと尾木直樹さんと弁護士の坪井節子さん、子どもの権利条約ネットワーク代表喜多明人さんが並びました。初めに喜多さんが「子どもの権利条約の実施と普及を進める声明」を発表し、続いて尾木ママと坪井さんから子どもの権利条約へのご自身のかかわりとこの条約を生かしていくための提案などが語られました。
尾木ママの話を私は初めて生で聴きました。テンポがよくてお話が楽しいので人気があるのも納得です。子どものシェルター「カリヨン」が10周年を迎えたと坪井節子さん。虐待から逃れたり、家族から出ていけと言われて、住むところがない子が本当にいるのだというお話にはやりきれず切なくなりました。子どもが生きる権利を認められない社会はあってはならないはず。だからもう一度大人も子どもも、子どもの権利条約を手にして読んで見ましょうよ。子どもの権利条約、ん?なんだそれという方も少なくないはず。そのくらい知られていないのが子どもの権利条約なのです。
私は子どもの生徒手帳に子どもの権利条約を載せるよう、区教育委員会に再三提案していますが、一向に聞き入れられません。抜粋でもよいので第6条生きる権利、12条意見を表明する権利、31条休み・遊ぶ権利など掲載し、自分に子どもの権利があり、同じく友達にもその権利があることを学びあってほしいと思います。
品川区ではいじめによって自らの命を絶つという痛ましい事件が起きました。つい最近亡くなったお子さんの親御さんがいじめは重大な犯罪であるということを認識してほしいという思いで訴訟を起こされました。
教育委員会が行った「いじめ等の調査対策委員会」の報告では、『一連のいじめは、当該生徒を追いつめ自殺の誘因となったと判断せざるを得ない』としているのにもかかわらず一転して区側はいじめと自殺の因果関係はないと主張し争う姿勢であると報道されたことに驚きました。報道が事実だとすれば区の対応は信じがたく、唖然とするばかりです。
今日の集会に参加して、いじめによって友達の生きる権利を奪うことが二度と起こらないように、子どもの権利条約を教育現場で子どもに周知すべきだと改めて思いました。(井上八重子)