第55回品川区肢体不自由児者父母の会の総会が6月9日の土曜日、旗の台心身障害者福祉会館で開かれました。
会計報告に続いて行われた会員による5分間トークはいろいろと考えさせられ、当事者の生きづらさが伝わってきました。私以外にも多くの議員が出席し、障害者福祉課の職員も同席していましたので、有効な政策提案につなげられるといいと思います。
母親と同居という下肢に障害のある成人男性は母親の急病で施設にショートステイした経験を報告。食事は規則正しくおいしくいただいてよかったが、いいことばかりではなかった。47人の利用者に対し夜間当直は2名体制と労働環境が過酷で、言いたいことも遠慮してしまったといい、入所者対スタッフの関係で物事が解決できない根本的な問題が明らかになりました。
重度心身障害者の通所施設「ピッコロ」がオープンして、7月からは児童の預かり事業が始まるので期待していると話すお母さんは、夏休みなどの長期休みにも利用できるようにしてほしいと要望されました。現在特別支援学校に通っていて、長期休業中は、親子ともども引きこもり状態なってしまうといいます。成人になる子のお母さんも自分も在学中は同じように、子どもが家にいるときは買い物も不自由するぐらい引きこもり状態で、よくわかると同調していました。
重度訪問介護者派遣を利用する女性はヘルパーさんとの1日の生活を話してくれました。ヘルパー派遣は11時から19時までの8時間。ヘルパーの来る昼近くまではずっとベットの中で過ごさなければならず、身支度や排泄を手伝ってもらい昼食をとった後は掃除など日常必要なことをしてもらうのだけれど、夕食が17時と早く、ヘルパーさんの派遣時間に合わせると仕方がないのだといいます。まともに食事ができるのは昼食の1日1食でせめてあと数時間ヘルパーさんの派遣時間を延長してもらえるとうれしいと切実な要望がありました。
まだまだ書ききれない当事者の大変な声を伺いました。身内や周りに障がいのある方がいなくて接する機会がないという方は珍しくありません。しかし事故や病気で、いつ障がいを持つ当事者になるかわかりません。だから特別の人のことではなく、みんなの問題として考えていきたいと思うのです。
参加者は赤ちゃんから高齢の父母の方まで幅広い層の方々でした。懇親会の食事の様子を見ると今までいろいろなご苦労をされてお子さんたちを育ててこられたことがよくわかります。家族介護に依存して成り立っている日本の障害児者福祉ですが、そこには限界があります。
障がいがあるなしにかかわらず、一人の人として健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を日本国は保障することを憲法で定めています。 大田区では重度在宅訪問のヘルパー派遣は1日16時間ですが、同じ条件でも品川区は8時間しか支給されません。品川では生活できないといって引っ越していく方がいるのは残念なことです。品川に住んでいてよかったねと笑顔で言えるそんな「品川のまち」を創りましょう。(井上八重子)