障害者権利条約に日本は昨年9月に署名しましたが、まだ批准には至っていません。この条約は個人ではなく社会にある障害を取り除いて、障がい者の人権を尊重するという考え方に立っています。また障がい児の教育はともに学ぶ統合教育(インクルージョン)であるということをはっきりと示しています。
障害者自立支援法も特別支援教育も一般的な声というのはあまり役に立たないのではないかと私は思っています。先ずは直接関わる当事者の声を聞くことだと思います。
行政は34万人の区民に対して税の平等・公平を追求するのは当然ですが、こと福祉に限って言えば、公平に平等にというよりは人権を尊重して生きていくことを保障するために柔軟に対応する。そしてそれがきめ細かくできるのは直接相談にあたる区だということに自信をもち、実行してほしいと望んでいます。
もうすぐ決算特別委員会が始まります。2007年度決算書のチェックをしていますが、品川区の福祉予算は施設費に重きを置く傾向があると思います。
例えば障がい児のヘルパー派遣です。障がい児を自宅において家を空けなければならない時に2、3時間の介護派遣を認めてもらえば足りることでも、ショートステイへどうぞといわれます。車椅子に乗った重度の子どもの着替え、突然のトラブルも考えて荷造りをして施設へ連れて行く。でも利用者の側からすれば自分の家に介護者が来てくれた方が2倍・3倍に助かります。一般的に考えて利用者の立場からもコスト面でも施設介護よりは介護人派遣のほうが合理的であると思うのです。障がい児を抱えた保護者の多くが要望しているのに認められないのは一体なぜでしょうか?!
当日会場で杉並区、台東区、小平市の父母の会の方とお話しすることができました。自治体によって通学の移動支援がある区もあるし、重度脳性麻痺者への介護人派遣が1日10時間以上の区もあるというようにそれぞれです。つまり区の姿勢です。
品川区は「人間は生まれながらにして自由であり、平等である。いかなる国や個人も、いかなる理由であれ絶対にこれを侵すことができない」という人権尊重都市宣言をしています。この精神を生かした施策こそ進めてほしいと思います。(井上八重子)
(写真)開会の挨拶をする﨑村会長