若者の就労支援に求められること

100円お手伝い「御用聞き」の前掛けを持ち説明する古市盛久さん

 111日に若者の就労支援を政策提案するための学習会が東京ネットで開かれたので参加しました。講師は光ヶ丘団地の一角にあるゆりの木商店街を囲む団地を中心に、「株式会社御用聞き」という会社を始めた33歳の古市盛久さん。 

古市さんは世の中の不具合・隙間に焦点を当てたソーシャルビジネスを始めたいと考え、「御用聞き」を2年前に一人で始めました。既存の家事サービスの利用者は共働き年収750万円ぐらいの30代から60代、1時間3000円から5000円というところ。彼が注目したのが年収250万円60歳以上の単身世帯で週1回誰でも使えるニーズを考えて100円家事代行を始めたのだそうです。まず考えたことは①売上>コスト②お客が喜ぶ③働き手が喜ぶという三つ。起業のコンセプトは「会話で世界を豊かにする」。

それを実現するのが「御用聞き」そして「会話をしながら家事代行をする」会話は顧客の満足度を高め、リピーターの増加にもつながっていきます。 

なんで5分100円かというと、ソーシャルゲームをアナログに置き換えるとそうなるらしいのです。5100円では完全に赤字ですが、ソーシャルゲームのようにフリーミアムの発想でオプションをつけていくと、お試し5分という一見さんが、リピーターとなり1800円ぐらいの利用者になってくださっているとのことです。月平均100件ペースで1日4~5件。3か月以内のリピーターが8割という状況で最低賃金850円を確保できているとのこと。ニーズは電球の取り換え、お風呂掃除、家具の移動、引っ越しの荷物の片づけなどなど。 

シルバー人材センターでもワンコインサービスといって1500円のサービス提供があるようで競合するのではという心配に、古市さんはお互いが協力して区別すれば大丈夫といいます。特に家事代行のスタッフは大学生で力仕事やパソコン、ちょこっとした家電修理など、大学生だからできることを請け負っています。 

テクニカルなものを持つ大学生に不足している経験。この経験を積める機会がこの会社の経営ノウハウにはあります。

入社して初めて就労体験ができて、会社が終身雇用で面倒を見てくれた時代は終わりました。社員教育にお金も時間も費やさなくなった企業は即戦力として働ける新入社員を求めています。経験不足の若者が即戦力となって働けるために、就労体験ができる機会をつくっていくことが就労支援として求められています。(井上八重子)