ジェンダー主流化のもと「議会に女性議員をふやす」~新年の集いを開催~

品川ネット新春の集いの講師にお招きした進藤久美子さん

品川・生活者ネットワークは、2021年の新年の集いを1月31日、荏原第五区民集会所で開催しました。講師にアメリカ史学者の進藤 久美子さん(東洋英和女学院大学名誉教授)をお招きし、ジェンダー主流化のもと「議会に女性議員をふやす」をテーマに、お話をうかがいました。

今年の新年の集いは、新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言が発出されていることもあり、オンライン参加でも呼びかけをしました。進藤さんは、オンラインでの講演や会議が続いて、会場で参加者を前にするのは久しぶりでこういうのはいいですねと言っておられました。人と会うことがうれしい、直接話を聴くに限る、ことは失いたくない反面、遠くに住んでいても話を直接聞くことができる。コロナ禍で必然として行われるようになったオンラインのメリットも活かしました。翌日が子どもの試験日で外出は控えたいという方や区外の地域ネットメンバーの参加も得ることができました。私も館山におりましたので、オンライン参加をしました。品川ネットの若いメンバーが、アカウントを取得したり、当日のパソコンのセッティングをしたりと担ってくれています。

進藤久美子さんからは、アメリカ史学者ですので、女性議員増大の世界の流れとアメリカでの現状といったことを中心に伺うことができました。

ジェンダー・ギャップと女性議員の増大

節分を過ぎ、梅の花が一気に咲きだした(20212.4.館山)

女性議員増大のながれは、世界女性会議で進められてきた歴史があります。1985年第3回会議では「実質的なジェンダー平等」を達成するため「女性の意思決定の場への参画」が重要課題に取り上げられ、第4回会議では女性議員増大のための特別措置(クオーター制)の必要性が強調されていました。同時に女性差別撤廃条約では、第7条に政治的・公的活動における平等、第4条差別とならない特別措置などが盛り込まれており、この条約は1881年に発効され、日本は1885年に批准しています。そしてこの条約の実効性を強化するために女性差別撤廃条約選択議定書がありますが、日本はまだ批准していません。

2019年12月世界経済フォーラムが発表した世界各国の「ジェンダー・ギャップ指数」が、日本は153カ国中121位と前年(110位)より順位を落として過去最低となったと報道がありました。この状態の中で、2018年に政治分野における男女共同推進法が施行されたことは大きな前進です。しかし男性議員が大多数を占める法律を作る国会で、数字目標を盛り込むことはできず、「選挙の候補者数を男女均等にするよう努力する」という努力義務にとどまりました。実際に市民団体の調査によると次期衆議院選で、女性候補者の数値目標を上げない、現職以外の候補者半数を女性にすることは考えていない、とする国政政党が多いということが紹介されました。

他方、アメリカは女性差別撤廃条約を批准していない唯一の先進国だというのですが、1880年以降、あらゆる選挙でマスメディア、政治学者、統計家がジェンダー・ギャップについて調査を行い、公表するようになったとのことです。ジェンダー・ギャップの主流化が、女性候補者や女性議員が増大する強い追い風となったといいます。

ジェンダー・ギャップの見える化

オンライン参加者以外の会場参加者が一堂に(中央が進藤久美子さん、両隣の左が田中さやかさん、右が吉田ゆみこさん)

進藤さんのお話を一度聞いただけでは消化しきれないという感想が会場からも出ましたが、参加者の皆さんがジェンダー・ギャップと聞いてお思い当たることがあったと思います。

「ジェンダー・ギャップ」とは、男女の 違いにより生じる格差のことを言います。一作年、東京・生活者ネットワークでは、生活者ネットワークの視点で自治体のジェンダーランキングを発表しました。ここに若者世代の多くの共感を得ました。
女性政策をさらに練り上げ、実現するためにも、女性議員を増やしていくことの重要性を再確認しました。そしてジェンダー・ギャップの見える化への取り組みのヒントをいただきました。進藤さんのお話は、年頭に当たって品川ネットの活動をさらに充実していくために、意味のある集会となりました。
今後も地域課題を掘り下げ、政策実現に向けて活動を進めます。品川・生活者ネットワーク、そして田中さやか吉田ゆみこにご意見をお寄せください。

 

余談ですが・・・

現在、通常国会が開催されており、国会中継をみる機会があります。社会がどんどん変化する中で、右肩上がりの好景気を再びというような経済政策重視の議員がなんと多いことか。密室でなければ政治は動かんと思っている議員、親の姿が議員の見本という世襲議員、さらに言うならば食事をつくることも子育ても介護も見ているだけで、やったことがない議員。そういった議員から、困窮者に寄り添って生活の現場を知っている議員を選んでいかなければとため息が出ます。

今年は、都議会議員選挙、衆議院選挙が控えています。新型コロナ感染症の猛威は、命の危険とともに経済も悪循環に陥る懸念を社会に与えています。これを立て直すには政治(税金の再配分)の役割が大きいのです。その政治、政策決定を私たちは議員にゆだねています。このコロナ禍で、政治が生活に無関係ではないということに気づかれた方は多いと思います。私たちの選択で、政治は変えられます。自分だけの問題と思っていることが、地域課題であることがいっぱいあります。一緒に解決に向けて声を上げていきましょう。

(井上 八重子)